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NPO法人サウンドウッズは、中大規模木造の部材調達で、地元の製材会社を中心とした連携体制による、将来につながる仕組みづくりを支援している。代表理事の安田哲也氏に木材調達の最新事情とポイントを聞いた。

安田 哲也氏
安田 哲也氏
NPO法人サウンドウッズ 代表理事 やすだ てつや:1970年兵庫県生まれ。93年に京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業後、設計事務所勤務、青年海外協力隊参加を経て、森と建築の間をつなぐ建築設計活動を開始。2009年にNPO法人サウンドウッズを設立し、全国の自治体や設計事務所向けに、森林資源活用や公共施設木造木質化プロジェクトの事業化支援、木材調達支援を展開。18年に1級建築士事務所登録し、NPO活動の一環として木の建築の企画・設計・監理業務に取り組んでいる(写真:日経アーキテクチュア)

サウンドウッズの主な業務内容とその目的を教えてください。

 学校や庁舎をはじめ、公共建築物で地域材活用を支援することによって、森林の資源価値を高め、ひいては森林の保全につなげることです。具体的には、地域の森林資源を使って建築物を建てたいと考えている自治体に対し、基本構想などの策定や設計者選定をお手伝いしたり、木材調達発注を支援したりしています。

木材調達に関して、業務内容をもう少し詳しく教えてください。

 我々が発注側で木材調達をコーディネートする場合、施工とは分離して地元の製材会社に調達してもらい、施工会社に支給する形を取ります。その際、木材調達の予算や発注に必要な明細の作成、木材事業者への情報共有のほか、その地域で供給可能な材のサイズや品質などの情報を設計者と共有し、無理のない設計に取り組むつなぎ役を担います。

 こうした発注者支援に加え、設計プロポーザルに参加する事務所から、木材の活用・調達について一緒に提案を考えてほしいという依頼が相次いでいます。その事務所が特定されタッグを組むことも増えました。

 大型木造に真剣に取り込む設計事務所は、現状に疑問を持っています。木の建築をつくることで、地元の林業の振興につながるのか、森づくりに還元できるのかという点です。

 一方、プロポの条件でも、地元の森林資源の量を示して活用法を問うたり、木材事業者の関与をしっかりと求めたりする事例が出ています。

中大規模木造の建設は新たなフェーズに入っている?

 自治体も、地元で本当に求められる木造建築はどうあるべきか、考える段階にシフトしており、設計プロポの要項にもそれがにじんでいる場合がある。設計者は手に負えないため、我々に相談が来ている印象です。