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東京五輪・パラリンピックに向けて新設された有明アリーナ(東京都江東区)では、従来の多機能トイレではなく、機能を分散させた5種類のトイレが配置された。そのきっかけとなったのは、「使う側」の声だった。

 「車椅子対応」「オストメイト対応」「乳幼児対応」などの機能を分け、5種類のトイレを分散配置する──。東京五輪のバレーボール、パラリンピックの車椅子バスケットボールの会場となった有明アリーナでは、障害者団体や学識経験者が参画したアクセシビリティ・ワークショップの議論を踏まえ、トイレのプランを見直した。施設は東京都が発注し、基本設計を久米設計、実施設計を竹中工務店が手掛けた。大会後はスポーツと文化の拠点として活用される予定だ〔写真1、2〕。

〔写真1〕使う人のニーズに合わせて機能を分散
〔写真1〕使う人のニーズに合わせて機能を分散
「車椅子対応」には従来の多機能トイレ同様、各種設備を設置。スペースに合わせて介助用ベッドのあるタイプとないタイプがある。また異性の介助者でも一緒に入れる男女共用のトイレも設けられた。そのほか、「手すり付き」「オストメイト対応」「乳幼児対応」といった機能を備えたトイレを用意。利用者の状況によって使用するトイレを選ぶことができる(写真:東京都、ミヤガワ東京)
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〔写真2〕スポーツと文化の拠点として活用
〔写真2〕スポーツと文化の拠点として活用
東京都の有明北地区に新設された有明アリーナ。1万5000席の規模があり、東京五輪・パラリンピックの終了後は、スポーツやイベントの会場として利用される予定だ(写真:日経アーキテクチュア)
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 ワークショップで示した最初の設計図面では、メインフロアとなる2階に男女別の専用トイレのほか、多機能トイレを2カ所設置していた。これに対し、障害者団体からは「多機能トイレのみに機能を集中させず、狭くても機能別のものを分散してほしい」、「同性介助ができない場合のために、異性が一緒に入れるトイレが欲しい」という意見が寄せられた。

 そこで、機能を分けた5種類のトイレを分散配置することで、子連れや高齢者、障害者などそれぞれのニーズに合わせて使えるようにした〔図1〕。

〔図1〕機能と配置を分散させたトイレ計画に変更
〔図1〕機能と配置を分散させたトイレ計画に変更
当初案では、メインフロアに男女専用トイレのほか多機能トイレ2カ所という計画だったが、実施設計ではワークショップで寄せられた意見を反映。機能を分けた5種類のトイレを分散させ、1カ所に利用者が集中しないようにした(資料:東京都)
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