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成田国際空港は、東京五輪開催決定をきっかけに進めてきた大掛かりなトイレの改修工事を、2020年3月に終えた。空港利用者、清掃員、障害者などから聞き取ったニーズに、コンペで選ばれた設計者が応えた。

 成田国際空港(千葉県成田市)は東京五輪開催が13年9月に決まるや否や、第1、第2旅客ターミナルビル(TB)内にある147カ所のトイレの改修事業に取り掛かった。当時で第2TBは使用開始から20年以上、第1TBは最初の改修から7年が経過して、様々な問題を抱えていた。

 成田国際空港は、到着ロビー内と出発ロビー内など利用者が多い11カ所のトイレについて、「日本の玄関口にふさわしいデザイン」を求めるコンペを実施。最初に第2TBの設計者として設計事務所ゴンドラ(東京都文京区)、次に第1TBの設計者として空間デザイン(大阪府吹田市)を選んだ。空間デザインはそれ以外のトイレの改修設計も手掛けた。

 成田国際空港では、改修前のトイレ利用実態調査で課題を洗い出し、改修提案に対策を盛り込んだ。

 課題の1つは、到着ロビー内のトイレの動線が整理されておらず、混雑を助長していたことだ。第2TB、第1TBとも、入り口から全ての便房の空き状況が見えるようにしたり、入り口付近にカートごと入れる大きい便房を配置したりして、利用者の動線を整理した〔写真1図1〕。

 利用実態調査で男性客がトイレを着替えや歯磨きに利用することも分かった。そこで、着替え台と鏡を男子トイレに備え付けた。

〔写真1〕トイレ内の動線を整理

到着ロビー内の男子トイレの入り口から内部を見た様子。全ての便房の空き状況が一目で分かる(写真:中川 敦玲)
到着ロビー内の男子トイレの入り口から内部を見た様子。全ての便房の空き状況が一目で分かる(写真:中川 敦玲)
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入り口付近に設けられたカートごと入れる便房。着替え台が備え付けられている(写真:中川 敦玲)
入り口付近に設けられたカートごと入れる便房。着替え台が備え付けられている(写真:中川 敦玲)
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〔図1〕トイレ内の動線を整理
〔図1〕トイレ内の動線を整理
到着ロビー内のトイレの配置図 独立手洗いを挟んで便房と身繕い用鏡を配置して、トイレ待ちの人と手洗いする人、身繕いする人の動線が交わらないようにした(資料:設計事務所ゴンドラ)
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