男女別、障害者用という枠組みを超え、誰もが自分に合う個室を選べる「オルタナティブ・トイレ」。新しいトイレの提案として2020年度のグッドデザイン賞を受賞した。設計者の永山祐子氏に計画のポイントを聞いた。

「オルタナティブ・トイレ」は住設メーカー、LIXIL本社のオフィス用トイレとして計画された。その経緯は?
永山祐子氏(以下、永山) 数年前からLIXILと協働して、オールジェンダー(性別不問)のトイレについて考察・検討を重ねていました。社会の多様化に伴って、オフィス空間はフリーアドレス化するなど大きく変化しているのに対して、トイレは従来の在り方からほとんど変わっていない。実際にトランスジェンダーの方がパブリックトイレを利用する場面で困っているという声もLIXILの調査で分かっていたので、オールジェンダー(性別不問)に向けて男女共用のトイレを具現化しよう、という狙いがありました。