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東京五輪の関連施設では、設計段階で障害者の意見を聞くワークショップが積極的に開催された。その結果、様々な問題が明らかになり、解決策が提示された。その成果は、国の設計標準にも盛り込まれている。

 国立競技場や有明アリーナなど、東京五輪・パラリンピックの関連施設では、障害者団体などに意見を聞くワークショップが開催された。ここでは、日ごろ障害者が抱えている様々な問題点が指摘された。

 電動車椅子で出掛けると一般的な車椅子対応トイレだと回転できないことがある、そもそも車椅子対応トイレが混み合っていて必要な時に使えない──。こうした課題に、個々のプロジェクトで対応した成果が、設計者の間で広く共有されれば、バリアフリー対応が加速する。そんな役割を期待されるのが、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」だ。この建築設計標準が2021年3月に改正された。

 建築設計標準はバリアフリー法や建築物移動等円滑化基準で求めるバリアフリー設計を実現するために必要な標準的な内容や望ましい整備内容を示したものだ。その適用範囲をまとめたのが図1だ。寸法などは法令で定めたものではないため、「義務」ではなく「標準」の文言に改めた。これに伴い、建築物の規模や用途に応じ、標準的な整備内容と、推奨とすべき内容を整理し直した。その結果、床面積2000m2未満の建築物についても、店舗やホテル、病院など不特定多数や高齢者・障害者が利用するものについては、車椅子対応やオストメイト対応を「標準」とした。

〔図1〕建築物の規模や用途に応じて「標準」と「推奨」に整理
〔図1〕建築物の規模や用途に応じて「標準」と「推奨」に整理
建築設計標準で示した寸法は法令で定めたものではないため、「義務」ではなく「標準」の文言に改めた。改正後の建築設計標準においては、建築物の規模や用途に応じ、標準的な整備内容と、推奨とすべき内容を整理している(資料:国土交通省)
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