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2021年に創業75周年を迎える梓設計の勢いが止まらない。10年前と比較すると建築の設計・監理業務売上高は約1.8倍、所員数は約1.6倍に伸びた〔図1〕。急成長の秘訣は何か。同社が10年間で進めた改革に迫る。

〔図1〕10年間で売上高が約1.8倍に
〔図1〕10年間で売上高が約1.8倍に
梓設計の設計・監理業務売上高と所員数の推移。直近の10年で売上高は約1.8倍、所員数は約1.6倍に成長した(資料:日経アーキテクチュア)
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 大手エンジニアリング会社の仏INGEROP(アンジェロップ)に、建材総合検索プラットフォームを提供する丸紅アークログ、スポーツ関連のコンサルティングを手掛ける米Blue United(ブルーユナイテッド)、音楽イベントなどのチケット販売事業を展開するぴあ──。

 これらの企業は、この10年間で梓設計が発表した業務提携や協業の相手だ。さらには2021年7月、沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)の設計を通じて出会った4D Replay Japan(東京都中央区)との協業を発表した〔写真1〕。同社が提供する映像システムは、選手のプレーを様々なアングルから撮影し、それらの映像を基に自由な視点で楽しめるハイライト動画を瞬時に生成する。東京五輪の中継でも活躍した話題の技術だ。

〔写真1〕観戦環境の向上を追求
〔写真1〕観戦環境の向上を追求
自由視点映像システム「4D Replay」を常設した沖縄アリーナ。2021年4月開業。沖縄アリーナの設計業務をきっかけに4D Replay Japanとの協業が決まった。21年4月撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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 このように、梓設計が協業する企業のなかには、建築設計に直接は関係しない企業も多い。しかし、「分野を問わず連携してきたからこそ、チャンスをつかめた。今後の成長の鍵も他社との連携にある」。梓設計の杉谷文彦社長はこう断言する。

 これほど他社との連携を重視するのは、社会のニーズが多様に変化し続けているからだ。コンピューターゲームの腕を競う「eスポーツ」のための施設など、従来のビルディングタイプに当てはまらない建築が生まれつつある。

 杉谷社長は「建築設計事務所としてどんな役割を果たせるか。様々な分野のリテラシーを高めることで提案力の向上につなげている」と語る。