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脱炭素に向けた住宅政策の方向性が決まり、省エネと創エネの工程表が公表された。国土交通省は「住宅の創エネにも責任を持つ」と表明し、太陽光発電にも本腰を入れ始める。激変する規制と支援策。何がどう変わるのか。

 今後の住宅政策の方向性を示す重要な取りまとめが公表された。国土交通省と経済産業省、環境省の3省は8月23日、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策などの在り方・進め方」を取りまとめた。これに従って、カーボンニュートラル(炭素中立)実現に向けた規制や支援策が加速することになる。

 有識者による検討会(座長:田辺 新一・早稲田大学創造理工学部建築学科教授)で議論した内容をまとめたもので、住宅が目指すべき姿などとともに、目標に向けた具体的な工程表を示したのが特徴だ〔図12〕。

〔図1〕検討会がまとめた「目指すべき姿」
〔図1〕検討会がまとめた「目指すべき姿」
国土交通省など3省が2021年8月23日にまとめた住宅と建築物の目指すべき姿。有識者による検討会で議論された(資料:国土交通省、経済産業省、環境省)
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〔図2〕脱炭素に向けた住宅政策の工程表
〔図2〕脱炭素に向けた住宅政策の工程表
国土交通省など3省がまとめた省エネ対策などの工程表。住宅に関する主な取り組みを抜粋した。規制強化の具体的時期などについては社会資本整備審議会で審議のうえ実施する(資料:国土交通省、経済産業省、環境省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 2030年の姿は、「新築される住宅・建築物についてZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていること」とした。前半は省エネ、後半は創エネに関するもので、ともに目標数値を置いたことになる。前半部の「ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能」とは、住宅で言えば、(1)強化外皮基準、(2)一次消費エネルギー量を現行の省エネ基準から20%削減、という2つの基準をクリアしていることを指す。

 工程表に具体的な規制が入ったのは省エネ関連だ。何がどう変わるのか。住宅関連に絞ってみていこう。

 最大のポイントは、住宅についても建築物省エネ法に基づく省エネ基準への適合を25年度に義務化すること。3省は適合義務化への準備として、未習熟な事業者に対する技術的な支援や審査手続きの負担軽減などに取り組むとしている。その後、遅くとも30年度までに義務化の基準をZEHレベルまで引き上げる。