全国にある団地の約半数が築40年を越え、老朽化の問題がいよいよ深刻さを増している。これまで建て替え促進のための法規制見直しや、躯体の長寿命化技術の開発など、団地再生のために数々の促進策が打たれてきた。しかし、特効薬となるモデルはまだ見つからない。そこへ、郊外居住のイメージが変わるコロナ禍が起こった。大企業が次々と団地再生ビジネスに参入。PPP(公民連携)を活用した再生モデルも登場した。郊外で動き始めた団地再生ビジネスの新潮流に乗り遅れるな。

特集
新風! 団地再生ビジネス
住宅特集 迫りくる老朽化、「民」の力で郊外救う
目次
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国内初「PPP建て替え」事業 民賃転換が前提の公営住宅に
morineki(大阪府大東市)
大阪府大東市が国内で初めて、市営団地の建て替えを民間主導の公民連携型で進めた。補助金は投入せず、住宅以外の機能と一体で事業を構築。“自走”できる運営を目指す。事業遂行は、「エージェント」に委ねた。
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ボリュームゾーンの再編始まる 新技術の実験場としても期待
スマートモビリティーやIoT(モノのインターネット)など最新技術の実験場として団地が使われる場面が増えている。全国には築40年を超える団地が約600近く残存し、その活用いかんで街の未来も左右される。
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コロナ禍やSDGsが後押し 攻めに転じる団地再生
コロナ禍や、SDGs(持続可能な開発目標)の機運の高まりを受けて、大手企業が次々と団地再生に参入している。事業性を確保しつつ、高齢化や利便性の悪さなどの弱点をいかに克服するか。各社の挑戦が始まった。
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3タイプの改修プランを提案 “住民優先”で建築賞受賞
アンレーベ横浜星川(横浜市)
入居者がいる賃貸住宅団地では、移転交渉などが煩雑で改修や建て替えが進みにくい現実がある。2021年にBELCA賞ベストリフォーム部門を受賞した「アンレーベ横浜星川」は、住み続けながらの刷新を実現した。
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団地活用の星なるか? 文化財を舞台に民の知恵募る
スターハウス(旧赤羽台団地、東京都北区)
2021年、都市再生機構(UR)と日本建築学会がコンペティションを開催中だ。題材は、19年に国の登録有形文化財に登録された旧赤羽台団地の顔「スターハウス」。その保存・活用への道のりを探る。
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団地再生はシフトチェンジの時 長期的計画も必要
長年研究され、建て替えや転用を促すべく国も規制緩和を行ってきた団地問題。より条件の厳しい団地が残り、再生への方策は難度が高まっている。今後の課題について、都市計画や団地再生の実情に詳しい、3人の識者に聞いた。