大型プロジェクトの端境期とコロナ禍のダブルパンチで、2020年度決算は予想通り減収や減益となる建設会社が多かった。多くの企業は生産性向上や新規事業の創出による生き残りに向けて、DX(デジタルトランスフォーメーション)に一層力を入れているようだ。20年度決算を振り返りつつ、建設DXの最前線と課題を追った。

特集
ゼネコン熱狂、建設DX
経営動向調査2021 建設会社編 業績は悪化しても研究開発やデジタル投資の手は緩めず
目次
-
デジタルゼネコンへまっしぐら DX銘柄・清水建設の巨大現場
建設会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)が熱を帯びている。経済産業省などから「DX銘柄2021」に選定された清水建設は「デジタルゼネコン」への脱皮を掲げ、現場や設計業務などの改革を始めた。
-
大林組が米国で重機を自律化、進むスタートアップとの協業
異業種の企業やスタートアップ企業などとのオープンイノベーション(社外との連携によるイノベーションの創出)に取り組む建設会社が増えてきた。最先端を走るのが大林組。米シリコンバレーでの取り組みを徹底リポートする。
-
建設DXは甘くない、米カテラ経営破綻の教訓
建設テック企業の代表格とみなされてきた新興建設会社の米Katerra(カテラ)が経営破綻した。「プロセスとテクノロジーの革新による建設業の変革」を掲げた同社の失敗は、建設テックブームに重い教訓を残した。
-
減収・受注減に終わった20年度、今期は利益が不安材料
多くの建設会社が2020年度決算で減収減益に沈んだ。21年度には売り上げが増加するとの見通しを示す企業は多いが、利益についてはさらに悪化するとの予想が並ぶ。各社が業績の回復に向けて期待する分野とは。
-
建設会社2020年度決算ランキング
各社の2020年度単体決算(2020年4月~21年3月の間に迎えた決算期の単体実績)をアンケート形式で調査した。調査票は6月初旬に郵送し、7月初旬までに回収した
-
建物用途別トップ10(売上高・受注高)
2020年度決算(単体)における用途別の売上高と受注高の上位10社をそれぞれ示した。
用途別のランキングを見ると、大型開発が一服した2020年度は、庁舎・事務所や商業施設、宿泊施設について売上高を落とした企業が多かった。一方、好調だった用途は、倉庫・物流施設。大手5社だけでなく、準大手・中堅以下の建設会社も売上高・受注高を伸ばしたため、順位の入れ替わりが激しかった。倉庫・物流施設の…