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「タイル剥落防止は、のり・くぎ併用が基本」という大林組。モルタルによる界面接着だけに頼らず、万一浮きが生じても落下させない“くぎ”のような仕掛けを併用する。同社が独自に開発してきた剥落防止工法を紹介する。

 大林組は、「のり・くぎ併用」という考えに基づき、独自に開発した「ループボンド・タフバインダー工法」(以下、LT工法)を外壁タイル工事の標準としている。

 これは、躯体を打設する際、型枠のセパレーターの先に、ループ状の突起を持つ部材(ループボンド)を取り付け、仕上げ層のモルタルと固着させることで剥落を防ぐ工法だ〔図1〕。モルタル層には繊維(タフバインダー)を混入することで、モルタル層自体の一体化も図っている。

〔図1〕タイルのモルタルが剥離しても落下させない
〔図1〕タイルのモルタルが剥離しても落下させない
ループボンド・タフバインダー工法では、セパレーターにループボンドを取り付け、600mmピッチで配置し、タイルを施工していく。Pコン(プラスチックコーン)を外してそこに後付け用のループボンドを取り付ける方法と、Pコンの代わりにループボンドを先付けする方法がある(写真・資料:大林組)
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 「タイル剥落の事故でもっとも多いのは、コンクリート躯体と下地モルタルの界面が剥離すること。LT工法であれば、万一の剥離時にもループ部分がモルタル層と固着しているため落下しない」。同社技術本部技術ソリューション部小川晴果・担当部長はこう解説する。

 オープン工法となっていることもあり、他社の案件も含め、2019年までに2100件を超える採用実績がある。剥落事故を起こした建物はまだ1件もないという。