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既存建物を生かすストック活用の時代を迎え、タイルの落下防止への関心が高まっている。部分的に補修する方法に加え、建物全面に対策を施す外壁複合改修工法がある。その代表的な工法を解説する。
外壁複合改修工法の代表例が「ピンネット工法」だ。繊維ネットとセメント系材料で既存仕上げ層を一体化し、アンカーピンで躯体に固定する。様々な工法が開発されているが、「カーボピンネット工法」(コニシ)は特徴がある〔図1〕。ポリマーセメントにカーボンファイバーを加え、強度や耐久性を高めている点だ。
施工前には既存外壁を調査し、500mm角以上の浮きがある場合は部分補修としてアンカーピンを1m2当たり4本打ち込む。同工法は左官職人1人当たり1日に15~16m2を施工できる。外壁1000m2の場合、工期は職人4人で16日となる。
「ネットアンカー工法」(ハマキャスト)も同様の仕組みだ〔図2〕。この工法はアンカーピンを抜けにくいスクリュー式に改良している。目地割りにより石張りのような外観となり高級感を保てることと、仕上げ塗り材の耐候性が高いことから20年保証を実施しているのが特徴だ。
外壁1000m2の場合、工期は2カ月半から3カ月。内訳はピンネットの施工が1カ月、石調仕上げ塗り材の施工が1カ月半~2カ月となる。