全2433文字
PR

既存建物を生かすストック活用の時代を迎え、タイルの落下防止への関心が高まっている。部分的に補修する方法に加え、建物全面に対策を施す外壁複合改修工法がある。その代表的な工法を解説する。

 外壁複合改修工法の代表例が「ピンネット工法」だ。繊維ネットとセメント系材料で既存仕上げ層を一体化し、アンカーピンで躯体に固定する。様々な工法が開発されているが、「カーボピンネット工法」(コニシ)は特徴がある〔図1〕。ポリマーセメントにカーボンファイバーを加え、強度や耐久性を高めている点だ。

〔図1〕ネットとピンで既存タイルを押さえるカーボピンネット工法

(資料:コニシ)
(資料:コニシ)
[画像のクリックで拡大表示]
改修前の外壁(上)と改修後の外壁(下)。改修後は塗装仕上げ(写真:コニシ)
改修前の外壁(上)と改修後の外壁(下)。改修後は塗装仕上げ(写真:コニシ)
[画像のクリックで拡大表示]
カーボピンネット工法の工程。❶プライマー塗布後にビニロン繊維のネットを伏せ込む。❷下穴をあけてアンカーを打ち込む。❸アンカーにエポキシ樹脂を注入。❹中塗りは2回。その間に水打ちをしてドライアウトを防ぐ(写真:コニシ)
カーボピンネット工法の工程。❶プライマー塗布後にビニロン繊維のネットを伏せ込む。❷下穴をあけてアンカーを打ち込む。❸アンカーにエポキシ樹脂を注入。❹中塗りは2回。その間に水打ちをしてドライアウトを防ぐ(写真:コニシ)
[画像のクリックで拡大表示]

 施工前には既存外壁を調査し、500mm角以上の浮きがある場合は部分補修としてアンカーピンを1m2当たり4本打ち込む。同工法は左官職人1人当たり1日に15~16m2を施工できる。外壁1000m2の場合、工期は職人4人で16日となる。

 「ネットアンカー工法」(ハマキャスト)も同様の仕組みだ〔図2〕。この工法はアンカーピンを抜けにくいスクリュー式に改良している。目地割りにより石張りのような外観となり高級感を保てることと、仕上げ塗り材の耐候性が高いことから20年保証を実施しているのが特徴だ。

〔図2〕石調の仕上げにできるネットアンカー

(資料:ハマキャスト)
(資料:ハマキャスト)
[画像のクリックで拡大表示]
改修前の外壁(左)と改修後の外壁(右)。改修後は目地割りをした石調の塗り材で仕上げる(写真:ハマキャスト)
改修前の外壁(左)と改修後の外壁(右)。改修後は目地割りをした石調の塗り材で仕上げる(写真:ハマキャスト)
[画像のクリックで拡大表示]
ネットアンカーの工程。❶下塗り塗布後にビニロン繊維のネットを伏せ込む。❷アンカーの位置を墨出しする。❸アンカーの穴をあけて打ち込む。❹中塗りと上塗りを1回ずつ行い、その上から新規仕上げを施工する(写真:ハマキャスト)
ネットアンカーの工程。❶下塗り塗布後にビニロン繊維のネットを伏せ込む。❷アンカーの位置を墨出しする。❸アンカーの穴をあけて打ち込む。❹中塗りと上塗りを1回ずつ行い、その上から新規仕上げを施工する(写真:ハマキャスト)
[画像のクリックで拡大表示]

 外壁1000m2の場合、工期は2カ月半から3カ月。内訳はピンネットの施工が1カ月、石調仕上げ塗り材の施工が1カ月半~2カ月となる。