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大学よりコンパクトな場合が多い中学・高校のキャンパスでは、1つのアイデアで骨格が大きく変わる。ガラス張りのリング状校舎、屋上広場と一体のメディアセンター。ともに校内の交流を促す。

愛光学園の新校舎が2021年7月に竣工した。設計コンペで大成建設が提案したのはガラス張りのリング状の校舎。生徒と教員はお互いの様子を見ることができる。周囲の緑を取り込みつつ交流を促す狙いだ。

 松山市の松山総合公園は小高い山の上にある。その公園から街を見下ろすと、緑の中に2つのリングを並べたような建築に目を奪われる。この不思議な形の建物は、愛光学園の新たな校舎だ〔写真1〕。

〔写真1〕印象的なリング状の新校舎
〔写真1〕印象的なリング状の新校舎
北西から見た愛光学園の新校舎の外観(写真:ナカサアンドパートナーズ)
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理事長室の窓越しに見た教室棟。生徒の移動する姿がうかがえる(写真:日経アーキテクチュア)
理事長室の窓越しに見た教室棟。生徒の移動する姿がうかがえる(写真:日経アーキテクチュア)
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教室棟1階の廊下内の様子。教室名の隣などに示してあるサインで校舎内のどこにいるかが分かる(写真:ナカサアンドパートナーズ)
教室棟1階の廊下内の様子。教室名の隣などに示してあるサインで校舎内のどこにいるかが分かる(写真:ナカサアンドパートナーズ)
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 進学校として知られる愛光学園はカトリック聖ドミニコ修道会のロザリオ管区により創立された私立の中高一貫校である。2022年度に迎える創立70周年に向けて、老朽化した校舎の建て替えをはじめとした、キャンパスの整備を進めている。

 新校舎の設計を担当した大成建設設計本部建築設計第5部設計室長の井内雅子氏は「周囲の緑豊かな環境に教育環境を同化させる方法を考え、円の平面を発想した」と語る。

 この円形プランはコンペで選ばれた。コンペでは、敷地のどこに新校舎を建設するのか定められておらず、建てる場所から自由に提案できた。大成建設の提案は、既存校舎のある住宅地側ではなく、松山総合公園側に新校舎を建てるというものだった。そうすれば周囲の緑を最大限活用できる上、仮校舎をつくる必要がない。

 新校舎は本部棟と教員棟、教室棟から成る。教室棟の屋根部分は切妻形状で、家のような空間をつくり出す。2つのリングに中学と高校の棟を分け、両者の交点に教員棟を配置しているのが特徴だ。生徒は登校時、理事長室や校長室があるオレンジ色の本部棟から校舎へ入り、それぞれの教室へと向かっていく〔写真23〕。

〔写真2〕芸術系教室は腰壁を設けずオープンに
〔写真2〕芸術系教室は腰壁を設けずオープンに
外側から見た教室の様子。外壁のスギ板には防腐剤を含浸させ、木材保護塗料を塗った(写真:ナカサアンドパートナーズ)
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被服室。一般の教室と違い、美術室と書道室、被服室には腰壁を設けていない。これらの外側にはウッドデッキをつくった(写真:ナカサアンドパートナーズ)
被服室。一般の教室と違い、美術室と書道室、被服室には腰壁を設けていない。これらの外側にはウッドデッキをつくった(写真:ナカサアンドパートナーズ)
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〔写真3〕エントランスでは学園の歴史を紹介
〔写真3〕エントランスでは学園の歴史を紹介
本部棟に入るとWelcome Hall(ウエルカムホール)と名付けられた空間が広がる。愛光学園の歴史などを紹介する展示がある(写真:ナカサアンドパートナーズ)
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