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登下校時や教室の移動でにぎわうキャンパスの中庭に、思い切った改修を施した。図書館やICT教育の拠点となるメディアセンターを新設。その屋上を、各校舎をつなぐ広場とし、新しい交流の場をつくった。

 四方を取り囲む校舎を2階レベルでつなぐ広場は、休み時間になると、教室を移動する生徒たちで華やぐ。以前、この場所にあった中庭を改修して設けたものだ。広場の下、中庭があった地上部分は、新しい図書館や、ICT(情報通信技術)教育などの機能を備えるメディアセンターに生まれ変わった〔写真1〕。

〔写真1〕2階レベルで校舎をつなぐ
〔写真1〕2階レベルで校舎をつなぐ
(写真:淺川 敏)
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(写真:淺川 敏)
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(写真:淺川 敏)
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以前、校舎に取り囲まれた中庭だった場所にメディアセンター「繋真館」を新設。屋根のコンクリートスラブを延ばして四方に立つ校舎につなぎ、2階レベルで移動できるようにした。基本的に平屋だが、一部だけ2階にスタッフルームがあり、屋上の広場に頭を出している

 2021年4月、大阪府寝屋川市の同志社香里(こうり)中学校・高等学校に、「繋真(けいしん)館」と名付けられたメディアセンターが完成した。利用する生徒が少なく、老朽化も進んでいた旧図書館に代わり、より機能の充実した施設として同校が建設した。旧図書館の更新ではなく、広さ約8万m2のキャンパスの中心的な存在だった中庭を改修して新設した。

 構造は鉄骨造で、延べ面積は約880m2。広場になっているコンクリートスラブの屋根は、手を広げたように四方に延びて、隣接する校舎と2階レベルでつながっている。

校舎間を移動する負担を軽減

 「建設場所の指定はなく、キャンパス全体の将来構想を踏まえたメディアセンターの提案が求められた。そこで、生徒の行き来が多い中庭に平屋のメディアセンターを計画し、その屋上を人工地盤のような広場にして、校舎間の移動を効率化しようと考えた」。設計を手掛けた八木佐千子・NASCA+partners(東京都新宿区)の共同代表の八木佐千子氏はそう説明する。18年5月、同校が4社を指名して実施した設計プロポーザルで設計者に選ばれた。他の3社の提案が既存校舎の建て替えなどだったのに対して、同社だけが既存の中庭に建てる提案を出した。

 八木氏が中庭に着目した理由の1つは、四方に立ち並ぶ校舎の多くが2階をメインフロアにしている点だった。頻繁に校舎間を行き来する生徒や教職員は、常に1階に下りてから中庭を横切って移動していた。2階レベルに新しい動線をつくれば、移動の負担を軽減でき、生徒同士の交流の場にもなると考えた。