地盤調査報告書の改ざんや大阪・西成の擁壁崩壊、神奈川県逗子市内の斜面崩壊など、「地盤」にまつわる事件が社会に衝撃を与えている。地盤のトラブルは、建築設計者にとっても他人事ではない。基礎の設計や監理を担う建築士が責任を問われるケースも少なくないのだ。近年発生したトラブルを読み解きつつ、地盤リスクとの向き合い方を探る。
あなたは何問正解できた?
解答・解説は→ 設計者は苦手意識克服を 地盤の知識は武器になる の最後に
頻発する地盤トラブルとの向き合い方
地盤調査報告書の改ざんや大阪・西成の擁壁崩壊、神奈川県逗子市内の斜面崩壊など、「地盤」にまつわる事件が社会に衝撃を与えている。地盤のトラブルは、建築設計者にとっても他人事ではない。基礎の設計や監理を担う建築士が責任を問われるケースも少なくないのだ。近年発生したトラブルを読み解きつつ、地盤リスクとの向き合い方を探る。
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松山市の地盤調査会社が起こした地盤調査報告書の改ざん問題が波紋を広げている。調査報告書を基に住宅を設計した建築士にも影響が及ぶ可能性があるからだ。地盤を巡る問題は、建築設計者と無関係ではない。
地盤や基礎に苦手意識を持つ建築設計者は多い。一般社団法人基礎構造研究会で建築基礎設計士試験の運営などを担う安井建築設計事務所の松尾雅夫技師長に、設計者、特に若手が地盤と向き合う際の心得を聞いた。
マンションの区分所有者に管理組合、管理会社、売り主、販売代理店、そして建築設計者。誰が事故の責任をとるのか──。2020年に社会的な注目を集めた斜面崩壊による死亡事故が、2つの民事訴訟に発展している。
地震や豪雨で崩れる恐れのある擁壁は全国に多くある。2021年6月には、大阪・西成で擁壁が崩れ、住宅が崖下に落ちる事故も発生した。建物の更新時は擁壁の安全性を高めるチャンスだが、対策は進んでいない。
静岡県熱海市で2021年7月に発生した大規模な土石流。違法に造成された盛り土が大雨の影響で崩壊したことが原因だとみられている。土地の現旧所有者に対する責任追及と、規制強化の議論が始まった。
既存ストックの老朽化を背景に高まる建て替え需要。工事の際に直面するのが既存杭の処理だ。撤去するにせよ、再利用するにせよ課題は多い。まずは、引き抜き時のトラブルで訴訟に発展したケースを見ていこう。