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松山市の地盤調査会社が起こした地盤調査報告書の改ざん問題が波紋を広げている。調査報告書を基に住宅を設計した建築士にも影響が及ぶ可能性があるからだ。地盤を巡る問題は、建築設計者と無関係ではない。

 「元社員が調査データの改ざんを行っている事実が判明した」。住宅の地盤調査や地盤改良などを手掛けるハイスピードコーポレーション(松山市)が起こした地盤調査報告書の改ざん問題が、地元建築界に波紋を広げている。

 同社の2021年9月17日の発表などによると、元社員は愛媛、高知、香川の3県、計76件の地盤調査データを改ざんしていた〔図1〕。

〔図1〕元社員が手抜きを目的に不正
〔図1〕元社員が手抜きを目的に不正
ハイスピードコーポレーションの元社員は2020年9月から21年4月21日までに実施したSWS試験のうち76件で地盤調査報告書を改ざんしていた(資料:ハイスピードコーポレーション)
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 過去のスクリューウエート貫入試験(SWS試験、旧称はスウェーデン式サウンディング試験)で、本来は5地点で実施すべき貫入試験の一部もしくは全部を怠っていた。調査を省いた地点には、地盤調査報告書作成ソフトの修正機能を用い、隣接地のデータを付け足すなどしていた。

 不正の発覚後、松山市に本社を置く別の地盤調査会社には、ハイスピードコーポレーションが地盤を調査した住宅の所有者などからの相談が後を絶たないという。この会社の代表は「問い合わせには、『地盤調査業界ではよくあることなのか』といったものもある。業界全体で信頼回復に努めなくてはならない」と嘆く。

 この問題は、地盤調査業界だけにとどまらない。データが改ざんされたことを知っていようがいまいが、不正に作成された報告書を基に設計した住宅などが建築基準法に違反していた場合には、建築士が行政処分や訴訟のリスクを負う恐れがあるからだ。