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静岡県熱海市で2021年7月に発生した大規模な土石流〔写真1〕。違法に造成された盛り土が大雨の影響で崩壊したことが原因だとみられている。土地の現旧所有者に対する責任追及と、規制強化の議論が始まった。

〔写真1〕5万m3超の盛り土が崩壊して市街地を襲った
〔写真1〕5万m<sup>3</sup>超の盛り土が崩壊して市街地を襲った
静岡県によると、逢初(あいぞめ)川流域(分水嶺を境にして、降水が流入する全域)の上流部にあった推定約7万m3超の盛り土のうち約5万4000m3が崩壊し、市街地を襲ったとみられる(写真:竹林 洋史)
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 熱海市伊豆山で発生した土石流は下流域の市街地をのみ込み、26人もの犠牲者を出す惨事となった。未曽有の災害の原因は、崩壊の起点にあった違法な盛り土だとみられている〔図1〕。静岡県や熱海市によると、盛り土の高さは当初、15mと申請されていたが、実際には35~52mだった。排水施設の設置といった安全対策も施されていなかったとみられる。

〔図1〕盛り土の下流側が起点となって崩壊か
写真は盛り土の崩壊箇所(写真:静岡県)
写真は盛り土の崩壊箇所(写真:静岡県)
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崩壊メカニズムのイメージ(資料:静岡県)
崩壊メカニズムのイメージ(資料:静岡県)
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崩壊した土砂は下流域の市街地に流れ込み、約130棟の建物が被害を受けた

 土石流の被害者や遺族ら70人は2021年9月28日、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産会社(清算)や現在の土地所有者などを相手取り、損害賠償請求訴訟を静岡地方裁判所沼津支部に起こした。請求額は約32億6880万円に上る。

 訴状によると原告側は「土砂崩落の危険性を指摘されていたにもかかわらず、崩落を防ぐ適切な措置を行わなかった」と主張している。

 原告側代理人の加藤博太郎弁護士は日経アーキテクチュアの取材に対して、「防げたはずの人災だった。全国にも危険な盛り土は多く存在する。この訴訟で問題点を明らかにして、盛り土の規制強化などにつなげたい」と語る。