ここ数年、台風による強風被害が相次いでいる。特に目立つのが外回り建材の被害だ。これを受けて、建材メーカーはカタログに耐風圧性能を積極的に示すようになってきた。高い性能を訴求する注目の新製品をピックアップした。
窓シャッター
マドモア耐風ガード スクリーンGIIタイプ 三和シヤッター工業
高層階の強風に耐える独自のスラット構造
三和シヤッター工業が2020年7月に発売した「マドモア耐風ガード スクリーンGIIタイプ」は、耐風圧性能が2400Paという、同社の調べでは既存製品で最強の窓シャッターだ〔写真1〕。2400Paとは、風速88m/秒の強風時に風下側に発生する負圧に耐える性能になる。
窓シャッターの耐風圧性能は、日本シヤッター・ドア協会がSS-1~5の5等級を技術基準で示している。最上位等級はSS-5の1200Pa、標準品はSS-3の800Paなので、同製品の性能はそれらを大きく上回る。
強風時の窓シャッターの壊れ方は、建物の風下側に発生する負圧に引っ張られてスラットがガイドレールから外れる場合が多い〔図1〕。そのため、技術基準では負圧の基準値を定めている。建物の風上側に発生する正圧でもスラットが押されてたわむが、室内側にあるサッシがたわみを抑止するため、正圧の基準値は定めていない。
高さ45mの風圧力に耐える
三和シヤッター工業がこれほど高い耐風圧性能の製品を開発したのは、販売対象を中高層マンションにも広げるためだ。風圧力は高い位置ほど大きくなるので、2400Paの耐風圧性能があれば高さ45m程度(14、15階相当)までの設置が可能になるという。同社商品開発部シャッターグループの伊澤秀観グループリーダーは、「性能を高くしたことで、これまで窓シャッターの設置を諦めていた沖縄県内の住宅からの引き合いが来ている。強風エリアではないユーザーも、より高い性能の製品を選ぶ傾向が見られる」と話す。
耐風圧性能を高める工夫は、ガイドレールの強度を上げる、シャッターボックスの構造と留め付け方を見直すなど。スラットとガイドレールの納まりは以前から同社がこだわり続ける独自方法を採用している〔図2〕。スラットに切り欠きを設けて、上端から下端まで連続してガイドレールに嵌合(かんごう)させる方法で、特許取得済みだ。実大試験で改めて高い耐風圧性能を確認した。
防火地域や準防火地域の開口部にも対応できるよう、「防火設備」の国土交通大臣認定を取得している。
2400Paを発揮できる最大寸法は幅2300mm、高さ2400mm。価格は幅1760mm、高さ2100mmの電動タイプで19万5700円(税・工事費別)。