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コロナ禍を受けて、会場に足を運ばずとも試合観戦を楽しめるようにする映像配信技術が注目を浴びた。無観客開催や入場制限への対応として導入されたが、実は会場内での観戦体験を向上させる可能性を持つ。

 コロナ禍によって東京五輪の他、プロ野球やJリーグなど様々なプロスポーツが無観客開催を強いられた。苦境にあえぐスポーツ業界では、どうやって新規のファンを獲得するかが喫緊の課題だった。

 そこで導入が加速したのが映像配信技術だ。なかでも4D Replay Japan(東京都中央区)が展開する自由視点映像システム「4D Replay」が注目を浴びた。2021年4月に開業した沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)に常設され、東京五輪の中継でも活躍した話題の技術だ〔写真1〕。

〔写真1〕自由視点映像システムを常設
〔写真1〕自由視点映像システムを常設
2021年4月に開業した沖縄アリーナ。自由視点映像システムで生成した映像を天井から吊り下げたビジョンに映し出す(写真:日経アーキテクチュア)
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アリーナ内には配信作業専用ブースを設けている(写真:4D Replay Japan)
アリーナ内には配信作業専用ブースを設けている(写真:4D Replay Japan)
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 4D Replayは、同社が映像処理速度を上げるために開発した最新アルゴリズムや、カメラの遠隔制御システムなどによって、ハイライト動画を瞬時に生成して配信できるシステムだ。選手のプレーを様々な角度から撮影し、それらの映像を基に自由な視点で楽しめる。4D Replay Japan広報部は、「これまではテレビ放送会社がメインの顧客だったが、施設の運営者や設計者などからの問い合わせも殺到した。想像の10倍以上だ」とうれしい悲鳴を上げる。