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 さらなる建物の木造・木質化を目指す法律が2021年10月1日、施行された。「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」だ。

 ちょうど11年前の10年10月に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の改正とともに名称を改め、これまでは公共建築だった対象を民間にまで拡大した。一定の普及が進んだ公共施設の木造・木質化を、伸び悩む民間建築でも促進することを目指す。

 主なターゲットは、いわゆる「低層・非住宅」の領域だ。国土交通省「建築着工統計調査2020年」を基に林野庁が分析したデータによると、新築の低層・非住宅の木造化率は低い水準にとどまっている。1階建てが19.3%、2階建てが17.6%、3階建ては3.0%。現在の主流は鉄骨造だが、低層・非住宅は木造でつくりやすい。

木造化しやすい1000m2以下

 今回、取り上げた3事例はいずれも、老朽化したRC造の旧施設を、延べ面積1000m2以下の木造で建て直したものだ〔図1〕。

〔図1〕耐火性能に応じて合理的な構造を選択
〔図1〕耐火性能に応じて合理的な構造を選択
いずれも延べ面積1000m2以下だが耐火性能は異なる。防耐火を含む諸条件を合理的にクリアするために、純粋な木造にこだわらず、適材適所で混構造を用いる事例もある(資料:各事例の取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 木造建築は延べ面積に応じて大中小の3つの規模に分けて語られることが多い。そのうち、中規模木造とされるのが、500m2超で3000m2以下の延べ面積だ。中規模木造のなかでもコンパクトな1000m2以下になると、木造化のハードルは一段低くなる。多くの場合、耐火・準耐火ではない「その他建築物」で建てられるうえ、基本的に「防火壁」による区画を設けなくても済むためだ。もちろん、この規模でも、防火地域の指定や、階数、特殊建築物の有無など、延べ面積以外の条件によっては、耐火・準耐火の構造が必要になる。

 土生公民館 耐火構造のホール中心に町並みに倣う は、特殊建築物であるホール(集会場)が一定規模以上になるため、耐火構造が求められた。しかし、防火区画を用いることで、その対象をホール空間だけとし、それ以外の部分は「その他建築物」で設計できるようにした。

 上有住地区公民館 木材から施工まで地元の技術を結集 は延べ面積は500m2超だが、容積率算定対象外となる部分を別棟とし、本棟の面積を500m2以下に抑えた。それにより排煙設備の設置を回避してコストダウンとともに、すっきりとした意匠の木質空間を実現した。

 洋光台南第一住宅集会所・管理事務所 築50年の団地に準耐火木造の集会所 は民間の木造建築だ。立地の特性上、求められた準耐火構造に燃えしろ設計を用いて主たる木構造を現しとした。若い住民も親しみやすい木造の集会所で、築50年になる団地の活性化を図る。