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 若手建築家の筆頭格だった藤本壮介氏と平田晃久氏は2021年、50歳になった。海外でも活躍する藤本氏、国内の公共施設の設計プロポーザルで強さを見せる平田氏。20代からのライバルは順調に歩を進める。これに続くのは誰か──。

 日経アーキテクチュア編集部の注目度が特に高かったのは石上純也氏と中村拓志氏、永山祐子氏の3人だ。石上氏については、「神奈川工科大学 KAIT広場」(日経アーキテクチュア21年3月11日号)で見せた鋼板による屋根構造へのこだわりに、うなった人は少なくないだろう。

 この中から日経アーキテクチュアがクローズアップしたのは永山氏だ。「2020年ドバイ国際博覧会日本館」(日経アーキテクチュア21年10月28日号)をはじめ、大型プロジェクトが相次ぐ。永山氏の持ち味は、ファサードへのこだわりにとどまらない。企画段階から発注者も交えて完成後の在り方を詰めていくことだ。そうした姿勢が、進行プロジェクト30件という今の状況を生んでいる。

(写真:鈴木 親)
(写真:鈴木 親)

石上 純也
いしがみ じゅんや 47歳
石上純也建築設計事務所主宰
1974年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了。妹島和世建築設計事務所を経て、2004年石上純也建築設計事務所を設立。米ハーバード大学大学院、コロンビア大学大学院の客員教授を歴任

ゆっくりと思考した1年半

この1年半、海外出張がほぼなくなり、1つの場所にいて、ゆっくりと腰を据えていろいろなことを考えることができた。プロジェクトに集中できて、とても心地の良い時間だった

〔主要プロジェクト〕サーペンタイン・パビリオン2019(英ロンドン、2019年)、神奈川工科大学KAIT広場(20年)、House & Restaurant(山口県、22年予定)、森の幼稚園(中国・山東省、22年予定)、(仮称)徳島文化芸術ホール整備事業(熊谷組などと協働、27年予定)

神奈川工科大学KAIT広場。2008年に完成した「KAIT工房」の東隣に立つ。垂れ下がる巨大な鉄板屋根には1辺1.8m~3mの四角い穴が計59個開いている。雨天練習場やイベント広場、学生の滞在場所としてつくられた(写真:石上純也建築設計事務所)
神奈川工科大学KAIT広場。2008年に完成した「KAIT工房」の東隣に立つ。垂れ下がる巨大な鉄板屋根には1辺1.8m~3mの四角い穴が計59個開いている。雨天練習場やイベント広場、学生の滞在場所としてつくられた(写真:石上純也建築設計事務所)
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A1
明確な未来を予測して設計を進めることにあまり意味を感じていないが、同時に、1つひとつの建築は遠い未来までできる限り長く残るべきだと思っている。そういう意味で、この先の10年というタイムスパンは建築にとっては中途半端な気がする

A2 「淡々と設計を続けていく」
意図は前設問の回答の通り

(写真:ナカサアンドパートナーズ)
(写真:ナカサアンドパートナーズ)

中村 拓志
なかむら ひろし 47歳
NAP建築設計事務所代表
1974年生まれ。99年明治大学大学院理工学研究科建築学専攻博士前期課程修了後、隈研吾建築都市設計事務所入所。2002年NAP建築設計事務所設立

ホテルプロジェクトが多数進行中

徳島県上勝町では2012年よりサステナブルなまちづくりに関わり、上勝町ゼロ・ウェイストセンターを完成させた。近年は多くのホテルプロジェクトが進行中だ

〔主要プロジェクト〕上勝町ゼロ・ウェイストセンター(2020年)、ZOZO本社屋(20年)、星野リゾート 界ポロト(北海道白老町、21年)、上野東照宮新神符授与所(22年予定)、クルックフィールズ・ライブラリー(22年予定)、福岡県上毛町新体育館(23年予定)

上勝町ゼロ・ウェイストセンター。自治体として日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町に立つ。ごみ分別回収所を中心に、リユースショップやホテルを併設する環境配慮型コミュニティー施設(写真:藤井 浩司/TOREAL)
上勝町ゼロ・ウェイストセンター。自治体として日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町に立つ。ごみ分別回収所を中心に、リユースショップやホテルを併設する環境配慮型コミュニティー施設(写真:藤井 浩司/TOREAL)
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A1
メタバース上の建築と実空間の建築の関係性をデザインし、相乗効果を高める方向に向かうだろう

A2 「SDGs、CSR」
エコロジカルで持続可能な社会に建築で貢献すること。また、地方自治体や企業、個人の社会的責任を設計で具現化し、社会貢献と発注者の価値向上を同時に図っていきたい

(写真:前谷 開)
(写真:前谷 開)

西澤 徹夫
にしざわ てつお 47歳
西澤徹夫建築事務所代表取締役
1974年生まれ。2000年東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了後、青木淳建築計画事務所入所。07年西澤徹夫建築事務所設立

新しい史料館の在り方を模索

八戸市美術館が2021年11月3日に開館した。現在は秋田市佐竹史料館の基本計画を進めている。計画策定から関わる初めてのプロジェクトだ。既存の文化施設との連携も視野に入れながら、新しい史料館の在り方を模索している

〔主要プロジェクト〕京都市京セラ美術館(青木淳氏と協働、19年)、八戸市美術館(浅子佳英氏・森純平氏と協働、21年)、秋田市佐竹史料館(小野泰太郎氏・工藤浩平氏と協働、24年予定)

京都市京セラ美術館。1933年に建てられた本館の改修設計と新館の設計を青木淳氏と共同で手掛け、建物の保存と活用の両立に挑んだ(写真:阿野 太一)
京都市京セラ美術館。1933年に建てられた本館の改修設計と新館の設計を青木淳氏と共同で手掛け、建物の保存と活用の両立に挑んだ(写真:阿野 太一)
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A1
多様性を育むような建築計画の可能性を追求していきたいと考えている

A2 「多様性、地域文化資源」
めまぐるしく消費されていくカルチャーとは別に、地域が本来活用しなければならない文化資源を、多様な生活や活動を喚起する形で育むことができるような建築を目指していきたい