自ら企画したプロジェクトへの共感・賛同から仕事の相談が舞い込む。依頼を待つばかりではない設計者の生き方を追求する。それが新しい領域の開拓にもつながっている。
たにじり まこと 47歳
1974年生まれ。2000年Suppose design office設立。14年よりSUPPOSE DESIGN OFFICE共同主宰。17年絶景不動産設立、社食堂開業。19年tecture、20年社外取締役、DAICHI設立。15年より大阪芸術大学准教授
よしだ あい 47歳
1974年生まれ。2001年よりSuppose design office。14年よりSUPPOSE DESIGN OFFICE共同主宰。17年絶景不動産設立、社食堂開業。18年BIRD BATH & KIOSK開業。21年etc inc.設立
2人の主な設計プロジェクトに、千駄ヶ谷駅前公衆トイレ(2020年)、hotel tou nishinotoin kyoto(21年)、モルテン テクニカルセンター molten [the Box](22年予定)、NOT A HOTEL NASU(22年予定)、広島駅南口ビル新築工事(25年予定)
この5年間に新会社や新事業を次々に立ち上げたSUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)(東京都渋谷区、以下サポーズ)の谷尻誠氏と吉田愛氏。谷尻氏は「建築家」と同時に「起業家」を名乗る。
2017年に設立した絶景不動産では「風景」を切り口に物件を紹介。設計者の視点で土地や既存建物のポテンシャルを読み取り、客の要望のニュアンスも理解できることを強みとする。会社の動きは「まだ大きくドライブをかけられていない」(谷尻氏)というものの、紹介した土地の1つは、サポーズが設計を手掛ける「NOT A HOTEL NASU」に結びついた〔図1〕。
谷尻氏が外部の人たちと創業したtecture(テクチャー)やDAICHIも好調だ。前者の事業は空間デザイン検索サービスの提供で、初めは意義を分かってもらえず苦労したが、自宅「HOUSE T」を例にその仕組みが雑誌で取り上げられると一気に理解が進み、今は各方面から問い合わせがある。
一方、後者の事業は自然環境を生かしたネイチャーデベロップメントで、谷尻氏が趣味とするキャンプが発想の源になった。こちらも複数のプロジェクトが進行中だ。