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3D都市モデルを整備する「Project PLATEAU(プラトー)」。防災や街づくり、自動運転など、都市データの使い道は無限だ。世界標準のオープンデータで使いやすくし、1年で浸透させた。
「使い勝手が悪いサービスは、誰も見向きもしなくなる」
国土交通大臣の大臣秘書官補を務めた後、国土交通省都市局都市政策課に着任したばかりの内山裕弥課長補佐は、ある小さなプロジェクトでそう訴えていた。数カ月後には、3D都市モデルを整備するProject PLATEAUと呼ばれるようになる、オープンデータプロジェクトだ。
2021年、建設業界でPLATEAUの名を知らない人はほとんどいないと言ってよいほど、その存在は一気に認知された。仕掛け人は内山氏だ。デジタルネーティブ世代の若い内山氏は「自分が使いたくなるサービス」の勘所を押さえ、都市データの提供サービスを開発した。
プロジェクトは20年春にスタートしていたが、同年夏に都市局に移った内山氏は途中参加。そこから政策企画の経験を生かしてリーダーシップを発揮する。20年末に専用ビューワー「PLATEAU VIEW(プラトービュー)」をリリースし、21年から普及活動を始めた。
21年4月にはオープンデータの提供を開始。それから1年弱で、無料の都市データを使い、様々なアプリが自由につくられ出した。国交省主導のユースケース開発にも力を入れ、PLATEAUで何ができるか手本を示すことに比重を置いている〔図1〕。