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住宅や公共施設、まちづくり、拠点運営など多岐にわたる領域を扱う。東京理科大学准教授としては、コロナ禍でユニークな活動が光った。それらの原動力になっているのは「対象を面白がることだ」と話す。
オンデザインパートナーズ(横浜市)の代表を務める西田司氏。ポットと呼ぶ小さな居場所を吹き抜けに点在させた「まちのような国際学生寮」は、2019年竣工にもかかわらず、コロナ禍を先取りしたようなプランだ。その先見の明に驚かされる。
同年、西田氏は東京理科大学理工学部建築学科の准教授に着任。その約1年後にコロナ禍に直面した。
大学への入構制限などで学生の活動意欲が低下していることを踏まえて始めたのが、「コロナの時期の過ごし方を面白がる建築学生ラジオ」だ。オンラインで開く研究室の朝礼に、建築や都市に関わる実務者を招いてレクチャーをしてもらい、その様子を研究室のYouTubeチャンネルで公開する企画だ。ラジオの総再生回数は21年12月時点で7万回超。いち早くオンラインを活用した教育の場をつくり、注目を集めた。
時代を先取りする西田氏の原動力は「対象を面白がること」だ。「可能性を深掘りしたり、楽しく手を動かしたりした結果生まれたものが、新しい建築や都市づくりにつながる」と西田氏は話す。
その考えは学生にも浸透している。21年に学生が研究室のDIY改修をした。素材や構法などの可能性を研究し、それらを実際に使って、天板にエポキシ樹脂を流した大テーブルや既存の軽量鉄骨を生かした吊り天井などを学生自ら施工した〔写真1〕。