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 住宅会社の北洲(宮城県富谷市)が2021年7月に発表した省エネ住宅には、太陽光発電設備(以下、PVパネル)と蓄電池、HEMS(住宅エネルギー管理システム)を搭載している。いかにも初期投資がかさみそうだが、建て主が購入時に負担する費用はゼロだ〔図1〕。

〔図1〕様々な事業者がPPA関連の事業を展開している
〔図1〕様々な事業者がPPA関連の事業を展開している
太陽光発電設備と蓄電池を設置するサービスの特徴と、それを採用した住宅の工夫などをまとめた。いずれの住宅も高い断熱性能を持たせたうえで、設備を導入する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 その秘密は、北洲が他社に先駆けて導入した東北電力ソーラーeチャージ(仙台市)の「あおぞらチャージサービス」にある。同社がPVパネルや蓄電池を住宅に設置し、メンテナンスや電力供給を含めた利用料を建て主に請求する仕組み。発電分で賄いきれない分の電気料金は、指定の電力会社に建て主が支払う。同社の収益源は建て主が支払う利用料と、余剰電力の売電収入だ。

 北洲では以前から同様のサービスを複数取り扱い、建て主が選べるようにしてきた。あおぞらチャージサービスを加えたのは、大容量の蓄電池を月額2万円弱で利用できるなど、建て主のメリットが大きいからだ。北洲の吉原秀人購買部長は「住宅受注のフックになる。建て主の環境意識を高めるのにも役立つ」と話す。

 こうしたサービスはPPA(電力販売契約)モデルと呼ばれる〔図2〕。国土交通省などが21年8月、30年までに新築戸建て住宅の6割にPVパネルを導入する将来像を示したことから注目されている。環境省も発電した電力の自家消費を増やすために、PPAを後押ししている。

〔図2〕第三者がPVパネルなどを無償で設置・運用
〔図2〕第三者がPVパネルなどを無償で設置・運用
PPAの一般的な仕組み。電力小売会社などが住宅の屋根に太陽光発電設備を設置し、建て主と電力販売契約を結んで発電した電力を供給する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 もっとも、PPAにも注意点はある。契約期間の途中で解約すると設備の買い取りや違約金が必要になる場合などがあるからだ。