街を再編する大規模プロジェクトが各地で進んでいる。脱炭素に向けた試みが少しずつ広がり、公民連携の事例も多様化してきた。個性的なホテルやスポーツ施設の計画も相次ぎ、ポスト五輪の建設市場をけん引する。
商業施設、ホテルなど
[22年]海の中道海浜公園官民連携推進事業
パーク・ツーリズムの滞在型施設
Park-PFI(公募設置管理制度)で国営公園を利用する国内初の事業。コンセプトは「パーク・ツーリズム」。約160ヘクタールの公募敷地内に、球体テントの客室などを備えた宿泊施設、レストラン、アスレチックタワーなどの常設施設を整備。カヌーをはじめ多様なアクティビティーを組み合わせた滞在型レクリエーション拠点を目指す。
[22年]NOT A HOTEL NASU
アプリで別荘とホテルを使い分け
牧場の傍らに広がる敷地内の分譲型ホテル。耐候性鋼を外装に用いた「masterpiece」と、「ハナレ」付きの「THINK」の2つのホテルで構成。いずれも購入したオーナーは別荘として使い、利用しない日はホテルとして貸し出せる。専用アプリを用いて別荘とホテルを切り替え、最大12人で共同所有できるシェア購入も可能。
[23年]ヒルトン沖縄宮古島リゾート
長大なRC造の一体架構を導入
宮古島トゥリバー地区に立地する329室のビーチリゾートホテル。琉球石灰岩をイメージしたベージュ基調の外観とし、2階のエントランスでは外構から海へと広がる視界を確保する。ビジネス客からファミリー層まで対応した23タイプの客室を用意。エキスパンションジョイントのない長大な鉄筋コンクリート造の一体架構とする。
[23年]代官山町プロジェクト
緑の木箱を積み上げた外観
賃貸住宅、オフィス、商業施設を複合した施設。「暮らす」「働く」「遊ぶ」という異なるシーンが融合した新しいライフスタイルの創出を目指す。緑化した多様なプロポーションを持つ小さな木箱を積み上げた外観。商業施設は奥へ誘う立体的パサージュを導入。周辺の街並みに溶け込みつつ、街に開かれた居場所をつくり出す。
[23年]NISEKO H PROPERTIES PROJECT
多様な勾配屋根で床面積を最大化
北海道ニセコ地区のコンドミニアムホテル。山並みの風景と呼応させ、多様な勾配の屋根をランダムに配置し、山間の集落のような外観とする。自然公園法の景観ガイドラインに即しつつ、同法の緩和規定を活用して床面積を最大化した。ゲレンデから直接出入りできる室、羊蹄山やゲレンデの見える室、露天風呂付き室など多彩な113の客室を用意。