「脱炭素」を旗印に、建築確認・検査制度が大きく変わる。新設の全建築物に省エネ基準適合義務を課し、建築確認・検査のプロセスでチェックする。中大規模住宅の届け出義務、小規模建築物の説明義務はなくなる。
国土交通省は、省エネ基準適合義務化について、その対象範囲を「原則すべての新築建築物」に広げる方針を打ち出した。実効性は建築確認・検査で担保する。基準適合を審査プロセスを通じて確実に確保するため、建築確認・検査の対象外となっている建築物の範囲や、4号特例の範囲を大幅に縮小する〔写真1〕。
現行の建築物省エネ法では、300m2以上の非住宅で、確認申請時に建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)を受ける必要がある。国交省の集計によると、20年度の1年間で省エネ適判を受けた建築物は合計約1万4000棟だ。一方、新たな審査対象となる建築物は約44万5000棟に上る〔図1〕。