2025年度の省エネ基準適合義務化に向けて関連制度の見直しが進む。住宅性能表示制度では断熱等級の上位等級を創設する。戸建てはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準を上回る等級も設定する方針だ。
住宅品質確保促進法に基づく住宅性能表示制度には外皮性能の誘導水準がなく、最も性能が高い「断熱等級4」でも現行の省エネ基準のレベルにとどまる。現行の最上位等級が適合義務化の際には事実上の最低基準となることを意味する。これを踏まえ国土交通省は、省エネ性能がZEH水準と同等の等級5を創設する。戸建てはZEH水準を上回る等級6、7を創設する方針だ〔写真1、図1〕。
等級6はHEAT20(20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)のG2、等級7はG3と同等のレベルとする。暖冷房に関する1次エネルギー削減率は等級6で約30%、等級7で約40%を見込む。
等級5は22年4月1日に施行。等級6、7は22年3月に公布して、同年10月に施行する予定だ。
上位等級の創設を議論してきた社会資本整備審議会建築環境部会の「建築物エネルギー消費性能基準等小委員会」で臨時委員を務めた秋元孝之・芝浦工業大学教授は「上位等級を用意したことで、より高い水準の達成に向けた業界全体の取り組みが加速する」と期待を寄せる。
機能性の高い窓を販売しているAGC建築ガラスアジアカンパニー日本事業本部の古賀潔・商品統括グループリーダーは、「省エネ性能を高めるために窓を小さくするという考え方があるが、今後は『性能を高めつつ大開口を実現できる』と売り出す企業が出てくるだろう」と話す。