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住宅ローン減税も省エネ優遇

 こどもみらい住宅支援事業の創設に加えて、注目されるのが住宅ローン減税の見直しだ。税制改正で、住宅の省エネ性能が高いほど優遇される仕組みに変わる。

 国会審議後に正式に決まるが、適用期限を25年末まで4年間延長。控除率を0.7%に引き下げる一方で、住宅の省エネ性能に応じて借入限度額に差をつける仕組みとなる。

 例えば、23年に入居する新築住宅の借入限度額はZEHが4500万円、長期優良住宅は5000万円であるのに対し、省エネ基準を満たしていない場合は3000万円としている。

 社会資本整備審議会建築分科会の報告書は「新築の財政・税制上の支援、機構によるフラット35については、義務付けに先行して省エネ基準への適合を要件化する」と記している。先んじた対応が欠かせない。

 専門家に聞く 清家 剛氏
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

省エネ化への機運の高まりを逃すな
(写真:日経ビジネス)
(写真:日経ビジネス)

 コロナ禍の影響で住宅にいる時間が増えたことで、今まで以上に住宅の快適性や省エネ性を求める人が確実に増えている。21年4月から始まった省エネ説明義務制度によって、省エネ性能の強化に向けて注力する設計者や工務店も増えた。

 こうした機運の高まりを逃さないために、社会整備審議会は取りまとめで財政や税制の支援が必要だと提示している。省エネ性能を高めるには基本的に建設コストが上がるからだ。国は支援事業を創設して、省エネ住宅を優遇した住宅ローン減税制度の改正方針も打ち出している。こうした補助や優遇策を活用することで、高い省エネ性能を備えた住宅が増えていくだろう。

適合基準の設定は慎重に

 適合を義務付ける省エネ基準のレベルを上げるべきだという意見があるが、基準を高く設定してしまうとコスト面で住宅を建てられない人が出てくる恐れがある。

 また、賃貸住宅にも省エネ基準の適合が義務付けられるため、新築で安い賃貸住宅が市場からなくなってしまう。そうなると賃料が安いものは、省エネ基準に適合していない既存の住宅だけということになりかねない。

 こうした状況をつくり出さないためにも、適合を義務付ける基準のレベルを一気に高めるのではなく、社会の状況に合わせて徐々に引き上げていくべきだと考える。経過を観察して、建設コストが安くなったことを確認できれば、義務化の水準を上げるといった進め方をすることで市場をコントロールできるはずだ。(談)