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東京・八王子のアパート階段崩落事故が発生して約10カ月。国は特定行政庁に指示して、事故物件の施工者が建てた214件の共同住宅の安全確保を進めている。併せて、再発防止策として省令・告示を改正した。

 建物正面に見える屋外階段は黒いシートに覆われており、赤いコーンが目を引く。建物内に人の気配はなく、ひっそりとしている〔写真1、2〕。2021年4月、このアパートで屋外階段が崩落し、居住者が死亡する事故が発生した。事故の原因は、2階と1階をつなぐ鉄骨製の階段を支えていた踊り場の木材が腐朽したこととみられている〔図1写真3〕。

〔写真1〕階段崩落事故があったアパート
〔写真1〕階段崩落事故があったアパート
21年4月に階段崩落事故があった東京都八王子市内に立つアパートの22年1月の状況。建物に人の気配はない(写真:日経アーキテクチュア)
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 【 事故物件の現状 】

〔写真2〕黒いシートに覆われた階段
〔写真2〕黒いシートに覆われた階段
屋外階段は、黒いシートに覆われており、22年1月時点で改修工事などは行われていなかった(写真:日経アーキテクチュア)
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〔図1〕鉄骨階段が崩落した
〔図1〕鉄骨階段が崩落した
崩落した階段の状況を示したイメージ図。崩落した鉄骨階段は、木造の踊り場に支えられており、木部の腐朽によって落下したとみられる(資料:国土交通省)
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〔写真3〕事故が起こった鉄骨階段
〔写真3〕事故が起こった鉄骨階段
事故直後、3階と2階をつなぐ階段は道路から確認できた。側桁と踏み板からなる側桁階段であることが分かる(写真:池谷 和浩)
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 事故があったのは、八王子市内に立つ木造3階建てのアパートだ。13年10月に指定確認検査機関から完了検査済み証の交付を受けており、築8年で、階段が崩落してしまった。

 このアパートを施工したのは相模原市に本社を置く則武地所(21年5月に自己破産を申請)。同社は、東京都と神奈川県で共同住宅の施工を手掛けていた。

 国土交通省は事故を受けて、則武地所が施工した他の物件の安全確保に乗り出す。東京都と神奈川県に対して、則武地所が施工した他の共同住宅を調査するよう要請した。さらに、再発防止策として、22年1月に省令や告示を改正。4月から順次、施行していく〔図2〕。

〔図2〕階段崩落事故に関する主な動き
〔図2〕階段崩落事故に関する主な動き
21年4月の事故発生以降、国土交通省は既存建物の安全確認を特定行政庁に依頼するとともに、再発防止のための基準整備を進めた。22年1月、改正建築基準法施行規則や改正告示を公布。22年4月から順次施行する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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