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保育園・幼稚園の設計を多数手掛けるプライム一級建築士事務所(東京都新宿区)は、園児を日常的な事故から守る設計の工夫を積み重ねてきた。2021年4月に開園した最新の保育園を例に同社の取り組みを紹介する。

 設計段階で園長と安全対策を確認し合い、完成後に危ない箇所が見つかればすぐに対処し、標準仕様を修正。これがプライムの設計方針だ。

 那覇市の「にぬふぁ保育園」は、2階のテラスと園庭を階段でつなぎ、園児が屋内外を回遊できるプランを採用した。このテラスと階段に設置した転落防止用の手すりには、園児を日常的な事故から守る対策が盛り込まれている〔写真1、2図1〕。

 【 落下防止 】

〔写真1〕ピッチの細かい繊細な手すり
〔写真1〕ピッチの細かい繊細な手すり
にぬふぁ保育園の外観。2階に広々としたテラスを設け、ピッチの細かい繊細な手すりで落下防止策を講じた。建物はRC造の地上2階建て(1部地下付き)。発注・運営者はNPO法人うてぃーらみや、施工者は米元建設工業(写真:加藤 嘉六)
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〔写真2〕輪をつくって剛性を高める
〔写真2〕輪をつくって剛性を高める
屋内階段の手すりの高さは1.2m、直径9mmの丸鋼で細長い輪をつくり、内法寸法8cm前後の間隔で並べて剛性を高めた。笠木のコーナー部分は面取りしている(写真:プライム一級建築士事務所)
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〔図1〕縦残を斜め2列に配置
〔図1〕縦残を斜め2列に配置
2階のテラスと外階段に取り付けた手すりのディテール。直径9mmの丸鋼を斜めに2列で配置して、剛性を高めた(資料:プライム一級建築士事務所)
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 園児がよじ登れないように高さ1.2m以上の縦桟とし、桟同士の内法寸法は身体が通り抜けられない8cm前後とした。これらの寸法は、東京都保育所設備・運営基準解説を参考に決めている。細い丸鋼を2連にした縦桟もポイントだ。「細い丸鋼だと握っても力が入りにくいので、よじ登りづらい。意匠的にうるさくならず、剛性も確保できる」とプライムの西島正樹代表は話す。

 屋外階段には、廃タイヤをリサイクルしたゴムチップマットを採用した。ぬれても滑りにくいだけでなく、弾力性があるので転倒時の衝撃を抑えられる床材だ〔写真3〕。

 【 床滑り防止 】

〔写真3〕ぬれても滑りにくい床材に
〔写真3〕ぬれても滑りにくい床材に
外階段は踏み面と蹴上げにぬれても滑りにくく、弾力性のあるゴムチップマットを張った。劣化による剥がれがやや早いので、張り替えを前提としている(写真:プライム一級建築士事務所)
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 プライムでは雨にぬれる箇所に張る床材は、保育士と一緒に、水でぬらした状態で滑りやすさを確認した上で決定することにしている。滑りにくい床材は掃除がしづらい場合もあるので、園で働く保育のプロの意見が欠かせないという。