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 「安全について考える際には『事故は起こるもの』という前提に立ち、制御する方法を考えるべきだ。事故を扱う能力を備えた社会は安全性が高い」。こう語るのは、障害予防工学を研究する東京工業大学教授の西田佳史氏だ。西田氏は、デジタル技術を活用して生活空間での事故を予防する手法の開発に取り組んでいる。

 研究成果の1つが、事故情報の分析による“見える化”だ。複数の省庁が持つ、室内で起こった転落や転倒などの情報を合わせた事故のビッグデータを用いる。西田氏はこのデータをテキストマイニングで分析し、事故が起こる典型的な状況を整理。それを基に実際の室内の画像や映像から画像認識技術により事故が起こり得る状況を自動的にピックアップするシステムを開発した〔図1〕。

〔図1〕画像から事故が起こりやすい箇所を抽出
〔図1〕画像から事故が起こりやすい箇所を抽出
画像や映像を基に、事故が起こり得る箇所を自動的に抽出。マークで知らせる(資料:西田 佳史)
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マークの箇所をクリックすると、発生する可能性がある事故の情報を表示する(資料:西田 佳史)
マークの箇所をクリックすると、発生する可能性がある事故の情報を表示する(資料:西田 佳史)
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 同システムを用いて子育て世代の親や保育士らに室内に潜む危険を認識してもらうことで、家庭や保育園での事故防止につなげる。「技術が進めば空間にカメラをセットしただけで室内の子どもに危険を警告できるようになる」と西田氏は語る。