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世界の空港では、脱炭素化に向けてどのような取り組みが行われているのか? 環境配慮への意識が高いといわれる、米国カリフォルニア州のサンフランシスコ国際空港の取り組みを紹介したい。米国では既に詳細な報告書も公開されている。

 米国・カリフォルニア州にあるサンフランシスコ国際空港(SFO)の第1ターミナルは、1960年代に建設された。その後、特に2000年以降は航空需要が高まり、増築や改修が必要となった。以降、飛行スケジュールや空港運営に影響を与えないような改修方法が検討されてきた〔写真1〕。

〔写真1〕市会議員の名を冠した空港
〔写真1〕市会議員の名を冠した空港
米国にあるサンフランシスコ国際空港(SFO)のハーベイ・ミルク第1ターミナル。ターミナル名の“ハーベイ・ミルク”は、カリフォルニア州史上初めてLGBTQ(性的少数者)であることを公表して選出された市会議員の氏名だ。第1ターミナルに命名したのは2018年(写真:Austin Webcor)
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 ハーベイ・ミルク第1ターミナルと名付けられた新ターミナルは、約11万m2の広さだ。建設は16年に始まり、その一部である9つの新ゲートが19年7月にオープンした。20年5月にはさらに9つのゲートを含む第2ステージがオープンし、21年半ばに7つのゲートが稼働した。増築や改修にかかった全体の総工費は約24億米ドル(約2600億円)。23年に最終の2つのゲートが完成した際には、1日当たり約400便の運航と、年間利用者約1700万人に上ることを予測している。

 SFOの運営者は以前から持続可能性に関心を寄せており、空港の「戦略的計画2017―21」では、21年までにネット・ゼロ・エネルギーとすることを目指してきた。この計画の一環として、SFOは廃棄物ゼロ、温暖化ガスの排出量を50%削減(1991年比)、節水を最大限に行い、新規および既存の施設を地球にとっても人にとっても“健康的”、いわばサステナブルなものにしたいと考えた。

 さらに同社は「ZERO(Zero Energy and Resilient Outcomes)委員会」を設置し、SFOにおける進行中、あるいは計画中のあらゆる空港プロジェクトをレビューした。レビューの観点は、ライフサイクルコスト、トリプルボトムライン(企業活動を経済面のみならず、社会面、環境面からも評価しようとする考え方)、その他の機器システム分析である。