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需給バランスが崩れ木材価格が急騰したウッドショック。今なお、高騰は続いている。2021年秋からは合板価格が急上昇。長引く原因はどこにあるのか。供給網を見れば、その真因が浮かび上がる。

 ウッドショックの勃発から約1年が経過した。この1年、木材価格は高止まりしている。

 農林水産省の統計調査によると、輸入材、国産材ともに2021年の春から夏にかけて価格が2倍近くまで上昇。夏ごろには天井が見えたが、依然として高水準だ。

 例えば21年3月に6.67万円だったスギ乾燥材価格は、同年8月には13.06万円まで急上昇した。22年2月まで7カ月連続で13万円を上回っている〔図1〕。

〔図1〕ウッドショックで木材価格は2倍近くに
〔図1〕ウッドショックで木材価格は2倍近くに
米国発のウッドショックで2021年春から輸入材、国産材ともに価格が急上昇した。21年夏以降、上昇は鈍化したものの高止まりしている(資料:農林水産省の木材価格統計調査を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 そのうえ、今度は合板が急騰している。国産針葉樹合板は、21年の1年間で約1.4倍値上がりし、1枚1730円になった。

 製材価格の高止まりや、時間差で現れた合板の急騰。その理由を探るために、供給網を分析しよう〔図2〕。

〔図2〕山で伐採した木が建物になるまでは4段階
〔図2〕山で伐採した木が建物になるまでは4段階
(1)森林から原木を伐採して丸太にする、(2)製材や合板にする、(3)用途に合わせて建築部材にする、(4)建築部材を組み立てる。上図では便宜上、矢印で供給網を簡略化したが、材種や形状などで矢印は複雑に絡み合い、網目を形成している(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 伐採した木が建物になるまでは、大きく4段階に分かれる。各段階を、商社や問屋などの中間流通業者がつなぐ構造だ。同じ段階でも製材工場と木質原料工場などに分かれ、それらの間に中間流通業者が介在することもある。その数が10社を超えることはざら。木材の供給ルートは網目状に広がっており、複雑だ。