鋼材価格の上昇が止まらない。調達が遅れ、工場建設の見直しや公共施設の開業延期など、建築プロジェクトにも影響が出始めた。鉄鉱石と石炭の価格高騰で需給バランスが崩れ、価格の先行きが見通せない。
事業化は一旦見合わせ、23年度以降に最終判断を延期する──。2022年1月24日、建材大手の大建工業は新工場の建設を延期すると発表した。約70億円を投じて北海道旭川市に工場を新設し、24年度に国産材を使った自社開発の木質ボードを量産。実現すれば、東南アジアからの輸入材に頼っていた合板を代替できるはずだった。
同社の発表資料からは「不確定要素があまりにも多い」「延期せざるを得ない」などの悔しさがにじむ。
見直しを迫った要因の1つは、鋼材の価格高騰だ。工場の建屋と生産ラインに用いる鋼材が急騰。総事業費は最終的に約120億円と当初の2倍近くに膨張した。