全1843文字
PR

木材、鋼材だけでなく、生コンクリートの価格も上がっている。主な原料である石灰石や砕石は国内産で、かつ国内のコンクリート需要に急増の気配は見られない。生コン価格上昇の原因はどこにあるのか。

 2022年1月、東京都心部に生コンを供給するメーカーで構成する東京地区生コンクリート協同組合(東京都中央区)が、販売価格を約2割値上げすると発表した。値上げは22年6月1日契約分からで、価格差は1m3当たり3000円と過去最大だ。

 生コン価格はこの1年半で、段階的に上がっている。建設物価調査会によると、東京17区の大口取引の現場持ち込み価格は1m3当たり1万4800円。1年半で約6%上昇した。

 東京生コン協組の値上げは5月以前に契約する生コンの価格には反映されないため、新価格の定着はこれからだ。ある生コンメーカーの関係者は「都市部は工期の長い大型物件が多く、契約済みの生コンも多い。新しい価格が定着するのには少なくとも2~3年かかるだろう」とみる。3000円の値上げが定着すれば上昇幅はさらに大きくなる見込みだ〔図1〕。

〔図1〕段階的に上がる生コン価格
〔図1〕段階的に上がる生コン価格
東京17区の大口取引で、現場持ち込み価格。普通コンクリートで呼び強度18N/mm2、スランプ18cm、粗骨材の最小寸法25mm(資料:建設物価調査会のデータを基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 価格上昇の最大の要因は、セメントの大幅値上げだ。22年初に大手セメントメーカー3社が足並みをそろえるように値上げに踏み切った。太平洋セメントは22年1月1日出荷分から、ホワイトセメントを除く各種セメント製品とセメント系固化材を1トン当たり2000円値上げした。

 宇部三菱セメント(東京都千代田区)も同日出荷分から、全てのセメント製品とセメント系固化材の価格を1トン当たり2200円以上値上げ。住友大阪セメントは22年2月1日に、全セメント製品とセメント系固化材を1トン当たり2400円値上げした。

 建設物価調査会によると東京のセメント価格(普通ポルトランド、バラ品)は22年2月時点で1トン当たり1万1000円だった。2400円という値上げ幅は2割に相当する。