資材高騰と納期遅延への対応に各社が知恵を絞っている。大手・中堅の住宅会社6社の対策を表にまとめた。木造建築の経験豊富な設計事務所と工務店が、予算を大幅に上回った見積価格を減額した事例も伝える。
大手中堅の住宅会社
値上げ品は取引先と価格交渉 住宅販売価格の値上げも
建材・設備の価格高騰や納期遅れが深刻化する中、受注した住宅を予定通り引き渡すために住宅会社は様々な対策に取り組んでいる。標準仕様の変更、調達が困難な資材への対応、資材価格高騰への対応に大別できる〔図1〕。
調達が困難な資材への対応として、前倒し発注に様々な項目で取り組むのは大和ハウス工業だ。キッチンにビルトインする機器の調達リードタイムを、従来の約2週間程度から約1カ月半~2カ月間確保できるように、建て主との仕様確定を早める。木質建材や金属建材、電子機器については、取引先に1~2カ月先の必要量を示して、先行して原材料や部品を確保するよう頼んでいる。
年間約300棟の注文住宅を首都圏と愛知県で手掛けるネクストイノベーション(東京都新宿区)でも、昨年から木材と設備機器の前倒し発注に取り組む。従来は取引先から届いた見積書の品目や数量をチェックした後、発注していたのを、取引先に見積もりを依頼した時点で発注する方式に切り替えた。価格は取引先との事前の取り決めに従う。
プレカット会社とは、上棟日の最新情報を共有することも始めた。上棟日に何とか間に合わせてもらうためだ〔図2〕。
同社では資材価格高騰への対応として、品不足の状態でない建材は価格を競わせて、別のメーカー品に変えることを検討している。その一方で、長年付き合いのある取引先や材工で発注している協力会社とは、値上げ額などを綿密に相談する。取引先との関係を強化するという回答は、大手住宅会社の中にも見られた。
ネクストイノベーションではさらに、資材価格の高騰分を住宅販売価格に転嫁するため、21年4月以降、段階的に坪当たり計5万円値上げした。22年4月以降も多くの建材・設備メーカーが値上げを表明しているので、4月以降に追加で坪当たり1万円値上げする計画だ。