建築関連の法規は難解だ。このため、スムーズな審査を妨げる「典型的な誤解」が存在する。この誤解をビューローベリタスジャパンの検査員が解説する。この連載では、省エネ関連の5つの誤解を取り上げる。(日経アーキテクチュア)


建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下、建築物省エネ法)に関連して登場する表現に「法の適用除外」と「評価の対象外」がある。両者は違うが混同しやすいので注意を要する〔図1〕。
建築物省エネ法は、建物の用途と床面積に応じて3種類の規制措置を設けている。300m2以上の非住宅(高い開放性を有する部分を除く)は現行の省エネ基準に適合させる義務を負い、建築物エネルギー消費性能適合性判定(以下、省エネ適判)を受ける必要がある。300m2以上の住宅は所管行政庁への届け出の義務を、300m2未満の非住宅と住宅は計画建物の省エネ性能を建て主に説明する義務を負う。
ただし、これらの規制措置の適用除外となる建築物もある。自動車車庫や畜舎、保存建築物、仮設建設物などだ。これらは面積の大小にかかわらず、省エネ適判や届け出は求められない。