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1級建築士試験の受験要件が変わり、20代の合格者が増えている。建築士若返りを背景に、竹中工務店では2022年4月から1級建築士など資格取得を昇格要件とする時期を28歳に早めた。資格の重要性が増しそうだ。

 今の建築界は60代以上を中心とする資格保有者の「大量離職時代」にある。建築士試験合格者は、1970年代後半に毎年8000人以上だったのに対し、近年は3000人台まで減少している。

 こうした背景から国は建築士法を改正し、2020年から受験要件を緩和した。大学などを卒業後すぐに受験することが可能となり、授業で資格取得を積極的にサポートする大学も出てきた。

 地殻変動は確実に起きている。実際に受験要件の変更後、20代の試験合格者は増え、21年度では6割以上を占めた〔図1〕。

〔図1〕1級建築士試験で20代が躍進
〔図1〕1級建築士試験で20代が躍進
建築士法の改正により受験要件が緩和されてから2年がたった。試験合格者数を変更前後で比べると、20代が増え、合格者数のうち半数超を占めている(資料:建築技術教育普及センターの資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 総合資格営業本部長の安島才雄常務執行役員は「今後、1級建築士試験の20代合格者はますます増えるだろう」と予測する。実務をこなしながら受験する30代以上の設計者は、時間に余裕のある学生や20代が競争相手になる。「ある程度会社の支援も必要となるだろう」と、安島氏は語る。