78%が他資格取得
続いて、1級建築士の資格保有者に絞って、建築資格の実情を見てみよう〔図4〕。建築士以外に建築資格を保有している人は8割近くに上る。5つ以上のマルチ資格ホルダーも16%と決して少なくない数だ。
1級建築士や宅建士、インテリアプランナーの保有者は、「育児のために退職せざるを得なかったが、復帰に役立った」(40代女性、デベロッパー)と回答。資格が、柔軟なキャリアプランにつながるという見方だ。
保有資格の上位3つは図1の回答者全体とあまり変わらないが、福祉住環境コーディネーターの割合が比較的多い〔図5〕。また、今後取りたい資格には、宅建士に続き、技術士(建設部門)や構造設計1級建築士、マンション管理士が挙がった。
建築資格の中には、出題範囲が似ていて併せて試験勉強に取り組みやすい資格や、保有資格によって一部試験や講習の免除を受けられる資格もある。次からはマルチライセンスを持つ実務者たちを取り上げる。
「日経クロステック」建築・土木系の読者を対象に、2022年4月13日から22日にかけてアンケートを実施。322人が回答。建築士保有者の内訳は、1級208人、2級69人、構造設計1級13人、設備設計1級13人、取得していない95人、木造は0人だった。建築士以外の建築系資格保有者の内訳は、1級建築施工管理技士103人、1級土木施工管理技士53人、その他の施工管理技士41人、建築設備士10人、JSCA建築構造士2人、建築積算士10人、建設業経理事務士2人、建築基準適合判定資格者13人、構造計算適合判定資格者4人、省エネ適合性判定員5人、技術士(建設部門)24人、同(総合技術監理部門)9人、同(その他の部門)12人、VEリーダー16人、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)6人、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)3人、宅地建物取引士41人、不動産鑑定士0人、土地家屋調査士2人、土地区画整理士3人、測量士17人、再開発プランナー/再開発コーディネーター3人、福祉住環境コーディネーター31人、インテリアプランナー8人、インテリアコーディネーター12人、CASBEE評価員18人、賃貸不動産経営管理士1人、既存住宅状況調査技術者17人、管理業務主任者12人、マンション管理士6人、マンション建替士1人、コンクリート技士/主任技士32人、コンクリート診断士14人、地質調査技士7人、地盤品質判定士1人、商業施設士1人、応急危険度判定士54人、ドローンの操縦や運航管理に関する民間資格4人。回答者の主な勤務先は、総合建設会社26.7%、設計事務所24.5%、コンサルタント10.6%、官公庁など6.5%だった。