多分野×技術士
異動と資格で広げた守備範囲 技術士は実力の証し
大林組 設計本部 設備設計部長
本吉 健志氏(1969年生まれ)

プロフィル 1993年に関西大学工学部電気工学科を卒業。同年大林組に入社。設計や見積もりなど様々な部署を経験。施工現場でのキャリアが一番長い
資格など
- 技術士(電気電子部門)
- 宅地建物取引士
- 建築設備士
- 1級電気工事施工管理技士
- 1級管工事施工管理技士
- 1級建築施工管理技士
- 監理技術者
- 統括安全衛生責任者
1993年に設備職として大林組に入社した本吉健志氏は、あらゆる業務に携わってきた。
設備設計や施工管理の他、コスト算出などの見積もり業務、営業企画、人事まで経験した。携わった現場も、病院から工場、放送局まで幅広い。そして2020年からは本社設計本部で、設備設計部長を務めている。これほどあちこち異動している人は、社内で珍しいという。
当然ながら、部署によって求められる能力は異なる。本吉氏は様々な業務領域を担当するに当たり、実務で必要な知識をその都度資格によって深め、キャリアを積んできた。
現場で施工管理をしていたころは、02年に専門分野の1級電気工事施工管理技士を、04年に1級管工事施工管理技士を取得。その後、工事長など現場全体のマネジメントをする立場になるには、建築全体の知識が相当量必要だと判断。07年に1級建築施工管理技士を取得した。
客先に行く機会が増えた営業企画のときは、宅地建物取引主任者(現・宅地建物取引士)の勉強を始めた。建築設備や現場だけではなく、建物を取り巻く広い知識が必要だと考えたからだ。
本吉氏は「営業企画などをしていたときは、営業の道もいいなと思っていた。資格があれば、異動希望が通りやすい。だから宅地建物取引士の資格を取った」と説明する。
建築設備士や技術士も取得
この他、建築設備士の資格も取得した。現在の仕事である、設備設計に役立っていると本吉氏は言う。
電気工学科出身の本吉氏は電気系に比べ、空調・衛生系の知識に疎い部分もあった。現場経験から得られる知識には限りがある。資格の勉強により体系的に学ぶことで、広い知識を身に付けることができた。
本吉氏は保有する資格の中でも、「技術士はまさに名刺代わり」と笑う。「技術士の資格があると、最初から相手に受け入れられやすい。信頼関係が築けてくれば、人の内面が評価される。しかし、スタート地点では資格の有無の影響が大きい」(本吉氏)
本吉氏は「技術士の受験は、技術者としての自分の現在地を知ることに等しい。実務経験を基に、技術者として自分が今どのレベルにいるのかを確かめられる」と話す。実務知識を得るための資格と、実務で身に付けた能力を確かめる資格。両者は異なるシーンで武器になる。
技術士とは
注目の国家・民間資格を解説 を参照