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 空気環境×臭い判定 
悪臭やカビのクレームで出動 空気を汚す原因を嗅ぎ分ける
大成建設 技術センター 先進技術開発部 新領域技術開発室 カーボンニュートラルチーム 課長
洞田 浩文氏(1963年生まれ)

(写真:大成建設)
(写真:大成建設)

資格など

  • 臭気判定士
  • におい・かおり環境アドバイザー
  • 技術士(農業部門、総合技術監理部門)
  • 環境カウンセラー
  • 文化財IPM(総合的有害生物管理)コーディネータ
  • 第1種衛生管理者
  • 建築物環境衛生管理技術者
  • 認定ファシリティマネジャー

 多様な資格を持つ大成建設の洞田(ほらた)浩文氏の仕事は一言で表現しにくい。過去にはシックハウス症候群の対策や、園芸学部出身の知識と経験を生かした植物工場での技術開発、虫菌害対策などを担当した。

 一見ばらばらに思える仕事はどれも、空気の浄化につながると言う。特に、目には見えない臭いが問題解決の糸口になることがある。臭気判定士の資格を取得すると、屋内外の臭気クレーム対応やカビ対策でも、社内で声が掛かるようになった。

鼻が利くかどうかは関係なし

 そういうと洞田氏は、ワインのソムリエや香水の調合師のように鼻が利く人と思うかもしれない。しかし、特殊能力の持ち主ではない。「臭いの原因と思われる素材や建材の特定から採取、検証、結果の提示までのプロセス」を理解している専門家だ。

 部屋が臭うという問い合わせがあった。天井のカビや染み、家具など、悪臭の原因になりそうなものを確認していく。床にシートをかぶせて密封したとき、臭いが消えた。原因は床にありそうだ。床材や汚れを調べ、最後にじゅうたんに含まれる不純物の劣化に伴う臭いへ行き着いた。

臭気判定士、におい・かおり環境アドバイザーとは

臭気判定士は公益社団法人 におい・かおり環境協会が試験を実施する、臭気環境分野で初の国家資格。嗅覚測定法を行うための資格で、試料の採取から試験実施、結果の求め方まで統括する。臭気判定士がにおい・かおり環境アドバイザー資格認定講習を受けて試験に合格し、かつ2年以上の業務経験があると、民間資格のアドバイザーを取得できる