第3回 Canadian Academy
快適さを最大化した木漏れ日空間
地田 聡氏 竹中工務店大阪本店設計部設計第7部門1グループ主任 + 廣江 誠人氏 竹中工務店広島支店設計部設備グループ主任
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「外部の光環境に勝るものはない」と、竹中工務店の地田聡氏は青空が見える室内環境の実現を目指す。神戸の学校の改修では、コンピュテーショナルデザインによってアトリウムを快適な場に変えた。
ちだ・さとし(写真左手):1980年生まれ。2008年神戸大学大学院修士課程修了、竹中工務店入社。「立命館大学 分林記念館」(19年)などの設計を担当。ひろえ・まさと:1981年生まれ。2007年東京大学大学院修士課程修了、竹中工務店入社。大阪本店設計部 設備部門を経て現職(写真:日経アーキテクチュア)
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2階アトリウム。改修前は半屋外の非空調空間だった。新たな学びの中心となる「Komorebi Living」として、木漏れ日に包まれるような快適な室内空間に改修した。天井には木製パネルを利用するなど、インテリアにも配慮した(写真:母倉 知樹)
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これまで、どんな意識で自然光を設計に取り入れてきましたか。
地田 光を強く意識したのは学生時代の欧州旅行のときです。仏カップマルタンのル・コルビュジエの墓から眺める地中海は、太陽の光がきらめいてすごくきれいで、外の光の良さに勝るものはないなと感じました。
それは、外部と同様な光環境を内部で実現するにはどうしたらいいかという問いに通じており、「Canadian Academy」(2021年)の改修事例でフラッシュバックした感があります。
廣江 夏は日射をシャットアウトし、冬は取り入れる仕組みが理想です。自動でルーバーの角度が変化するシステムを導入したいと思っていますが、コストがかかるため採用されない場合が多いですね。