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東京郊外の丘陵地のニュータウンという立地を読み取り、「開かれた研究所」にすることを提案した。天井全体を覆うアルミルーバーに、常に変化する外部環境を反射させることで、内外のつながりを生んだ。

ずい・ひでかず:1985年生まれ。2010年早稲田大学大学院修了、日建設計入社。主な担当プロジェクトは「港区立小中一貫教育校白金の丘学園」「早稲田大学高等学院72-2、73、73-3号館」「栗田工業 Kurita Innovation Hub」「武蔵藤沢の家」など(写真:日経アーキテクチュア)
ずい・ひでかず:1985年生まれ。2010年早稲田大学大学院修了、日建設計入社。主な担当プロジェクトは「港区立小中一貫教育校白金の丘学園」「早稲田大学高等学院72-2、73、73-3号館」「栗田工業 Kurita Innovation Hub」「武蔵藤沢の家」など(写真:日経アーキテクチュア)
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全面をガラスの開口部とした北側の外観。丘陵地の地形に溶け込むように上層部をセットバックさせている。深く出した軒下に、風景や光をほのかに映し出すアルミルーバーを張っている(写真:雁光舎/野田 東徳)
全面をガラスの開口部とした北側の外観。丘陵地の地形に溶け込むように上層部をセットバックさせている。深く出した軒下に、風景や光をほのかに映し出すアルミルーバーを張っている(写真:雁光舎/野田 東徳)
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「全薬工業研究開発センター」(2021年)の設計では、光の使い方に綿密な工夫が見られますね。

 初めて手掛ける「研究所」というビルディングタイプについて、じっくりとスタディーを重ねて、光に着目することになりました。要因の1つが、研究所における日々の生活です。この敷地に移転する前の旧施設は、外部に対して閉じた建物でした。

 そうした研究所に勤める研究者の方々に話を聞くと、朝に出勤して研究室に入って気が付いたら夜になっていたとか、植栽を置けないので季節感がないといった声がありました。そこで、時間や季節を感じられるような空間をつくってはどうかと考えました。そこから従来の定石を覆して、研究所を「外部に対して開く」という発想が生まれました。

自然光の納まりポイント
  • 天井高を確保できると分かったとき、外部環境を映し込む鏡面状の天井ルーバーを着想
  • 表情が変化し続ける天井ルーバーで、閉じこもりがちな研究空間に外の環境を取り込む
  • 状況を揺らいで映す鈍い反射面となるアルミルーバーのディテールを徹底的に追求