コロナ収束後の出社率の平均は71%──。不動産サービス大手のCBRE(東京都千代田区)が、国内企業のオフィス戦略担当者に聞いたアンケート調査(調査期間は2022年1~2月)で、アフターコロナの出社率の見込みが明らかになった。
調査では、21年夏のコロナ第5波時と、コロナ収束後の出社率について、グラフのように「10%未満」「10%以上20%未満」と10ポイント刻みで選択肢を示し、当てはまる出社率を回答させた。
第5波時の平均出社率は48.2%だった。回答は「50%以上60%未満」が22.2%でトップだった〔図1〕。
一方で、コロナ収束後の予定出社率の平均は第5波時から20ポイント以上上昇し71.0%となった。収束後の回答は「100%出社」が最も多くの21.1%。コロナ禍であってもテレワークを実施しておらず、今後も予定していない企業が6.7%あったため、計27.8%がコロナ収束後に完全出社するという計算になる。
調査を担当したCBREの五十嵐芳生アソシエイトディレクターは「規模の小さい企業ほど出社率が高い傾向にあった。特に使用面積が100坪未満の小規模な企業では、調査時点の2月で既に32.8%が完全出社になっていた」と説明する。
ハイブリッドワークが主流に
裏を返せば、70%以上の企業は在宅勤務と出社を組み合わせた「ハイブリッドワーク」となる。ハイブリッドの割合については出社率「80%以上90%未満」が16.9%で最も多く、「70%以上80%未満」が続いた。
オフィストレンドの専門家であるザイマックス不動産総合研究所(東京都港区)の石崎真弓主任研究員は「コロナ禍の2年間は企業がオフィス戦略を練る期間だった。出社率にばらつきはあるが、『テレワークが一時的なものではない』という傾向ははっきりしてきた」と分析する。
企業はハイブリッドワークを前提として、在宅勤務では難しい機能をオフィスに取り入れようとしている。出社率の低下に伴い、オフィスの形も激変しようとしている。