オフィスに環境性能を求める企業が増え、環境配慮型の「グリーンビルディング」の価値が高まっている。既存オフィスでもエネルギー関連の取り組みが相次ぎ、築43年の超高層ビルでは実証実験も始まった。
オフィスビルで排出された紙や生ごみなどの有機性廃棄物をビル内で燃料化して、ビルの電力として利用する──。
国内初となる取り組みの実証実験を、東京建物など6社が新宿センタービル(築43年)で実施した。実験期間は2021年12月15日から3日間だった〔写真1、図1〕。
新宿センタービルの所有者は東京建物、明治安田生命保険、日本プライムリアリティ投資法人の3社。技術を提供する東京電力エナジーパートナーズ(東京都中央区)とサステイナブルエネルギー開発(仙台市)、新宿センタービルに入居する損害保険ジャパンと連携して実験した。
実験に用いたのはサステイナブルエネルギー開発が開発したISOP(イソップ)システムだ。
破砕機に紙やプラスチックの包装フィルム、食品廃棄物などのゴミを投入し、砕いたゴミを亜臨界水処理装置で滅菌する。その後、亜臨界水処理物からメタン発酵槽でメタンガスを、炭化ペレット製造装置でバイオ石炭を生成し、コージェネレーション装置などを使って発電するという仕組みだ。
計算上、ISOPシステムでは亜臨界水処理装置を稼働する際に消費する電力量の約2.5倍の電力量を生成できるという。
今回の実証実験では亜臨界水処理に用いる電力を、東京電力エナジーパートナーズが供給する実質的な再生可能エネルギーで賄った。エネルギー消費量の収支が実質、マイナスになる。東京建物は、「実験の結果を踏まえて、今後は他のビルへの展開なども検討していく」(広報部)としている。