今回の法改正を建築実務者はどう捉えているのか、日経アーキテクチュアは独自アンケートを実施した。集計の結果、4号特例の縮小に8割近い回答者が関心を示した。さらに、設計者の負担増や審査の長期化を懸念する声が寄せられた。
脱炭素に関連した今回の建築物省エネ法など改正で、関心が高い改正点について尋ねた〔図1〕。最も多かったのは「建築確認の際、構造審査を要する木造建築物の範囲の見直し(4号特例の縮小)」で、78.5%と8割近い回答者が選んだ。次いで、「全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合義務化」で74.2%だった。いずれも小規模な木造住宅を対象とした改正で、影響を受ける建築実務者が多いことがうかがえる。
特集の冒頭に示したように「4号特例の縮小」については賛否を尋ねた アンケート調査参照 。賛成がほぼ6割を占め、反対は3割程度だった。
「賛成」の理由としては、審査実施によって設計者の能力の違いが明らかになり、能力不足の建築士が淘汰されるという声が複数見られた。
一方「反対」の理由としては、「業務報酬は増えないが、負担だけが増えそう」「構造計算ソフト導入か、外注先に依頼することで、追加の費用が発生する」など、業務や対策費用の増加に不満の声が上がった。
また、建築確認の段階での混乱を懸念する声も複数寄せられた。「整合性確保のために手戻りが生じやすく、現場は全く進まなくなる」「地方の工務店や確認検査機関ではまだ対応できる人的配置がなされていない」などだ。
構造関連では、「必要壁量の見直し」についても賛否を尋ねた〔図2〕。こちらも賛成が7割近くに及んだ。反対は2割程度にとどまる。