新設が検討されているZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)用の基準で設計すると、耐力壁はどのくらい増えるのか──。日経アーキテクチュアは、独自にシミュレーションを実施し、モデル建物に耐力壁を配置してみた。その結果を報告する。
国土交通省は、ZEHをはじめとする省エネ住宅に対応する新たな壁量の基準を検討している。日経アーキテクチュアは独自にシミュレーションを実施し、既存の建物モデルに耐力壁を配置する検証を試みた〔図1〕。
シミュレーションは東京都市大学の大橋好光名誉教授が監修した。耐力壁を配置する設計は、構造計算ソフトを開発するインテグラル(茨城県つくば市)の木村良行チーフマネージャーに依頼した。
大橋名誉教授は、ZEH用の基準として、性能表示制度の耐震等級1相当の壁量を1.2~1.25倍の値に設定した〔図2〕。
性能表示制度の耐震等級1相当を基準にするのは、建築基準法施行令46条で定める現行基準と比べて、現在の建物の荷重に近いと考えるからだ。「20~25%増しにしたのは、重さ15kg/m2程度の太陽光発電パネルを屋根の半分に載せた分と、屋根や壁の断熱材の増加分、外壁に占める壁部分の面積比率が大きくなる分の合計だ」(大橋名誉教授)
このZEH用の基準では、2階建ての1階の必要壁長さは、軽い屋根の場合「43.2~45.0」、重い屋根の場合「55.7~58.0」になる。現行基準と比較すると、最大で1.76倍になる。