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国土交通省や会計検査院が、木造の仕様規定に関する建築基準法違反を度々発表している。そうした過去の違反事例とインスペクターが現場で発見した設計ミスから、設計上注意すべきポイントをまとめた。

 国土交通省が4号特例を縮小して構造審査を導入するのは、仕様規定の木造建築で構造の安全性に直結する違反がなくならないという背景がある。

 国交省は4号特例の縮小について検討した2021年12月の社会資本整備審議会の建築環境部会と建築基準制度部会の合同会議で、06年度以降に公表した木造住宅の仕様規定に関する建基法違反が累計3327件に及ぶことを示した〔図1〕。

〔図1〕壁量不足と壁量バランスの不適合が多発
〔図1〕壁量不足と壁量バランスの不適合が多発
国土交通省が公表した木造住宅の仕様規定に関する建築基準法違反の事例をまとめた。壁量不足だけでなく、壁量バランスも不適合となっている事案が少なくない(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 木造建築の仕様規定に関する違反は、会計検査院も決算検査報告で度々指摘している〔図23〕。これを受けて国交省は、設計者向けと自治体職員向けのチェックリストを作成して、17年に都道府県と政令市に配布した経緯がある〔図4〕。

〔図2〕公営住宅で接合金物の選定ミスが多発
〔図2〕公営住宅で接合金物の選定ミスが多発
会計検査院が木造公営住宅などで確認した建基法違反。2014年度と15年度の決算検査報告で公表した。接合金物の選定ミスが多発している(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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〔図3〕柱脚の接合金物が強度不足
〔図3〕柱脚の接合金物が強度不足
会計検査院が公表した、日光市の市営住宅の集会所で発生していたミスの内容。N値計算と異なる向きで筋交いを設置したため、柱脚部が接合強度不足になった(資料:「平成26年度決算検査報告」を基に日経アーキテクチュアが作成)
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〔図4〕設計者向けのチェックリストを作成
〔図4〕設計者向けのチェックリストを作成
国土交通省住宅局住宅総合整備課が作成した設計者が記載するチェックリスト。2017年3月に都道府県と政令市宛に配った「木造公営住宅等の適切な設計及び施工について」と題する文書に盛り込まれている。自治体職員用のチェックリストも作成している(資料:国土交通省)
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