全1407文字
PR

建築基準法は構造審査・検査を省略する4号特例を定めるが、独自に構造審査・検査を実施する行政庁がある。狙いは、地震被害や施工不良の防止だ。特例を横目に、構造関係規定への適合性を見極めている。

 独自に構造審査・検査を実施する根拠の代表格は建築基準法で定める中間検査だ。建基法上、特定行政庁はその対象になる特定工程を指定できる。その仕組みを基に4号建築物である戸建て住宅を検査対象とする行政庁は少なくない。

 2021年7月、2階建て以上の戸建て住宅について屋根工事と構造耐力上主要な軸組み工事または耐力壁の工事を特定工程に加えたのは、三重県である。建築士が設計・監理する戸建て住宅に対しては建基法で定める構造審査・検査を省略する特例が適用されるが、工事監理の徹底を図る狙いから事実上、構造審査や検査を実施する〔図1〕。

〔図1〕三重県では戸建て住宅も中間検査の対象に
〔図1〕三重県では戸建て住宅も中間検査の対象に
中間検査の実施者は図に示したように大きく3つのことを行う。まず添付図書を求める。次に検査前確認を工事監理者に求める。下に示した「工事監理報告シート」を基にチェックを進めてもらう想定だ。最後は、現場と図書の整合や建築基準関係規定への適合を検査する、という流れだ(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]
工事監理報告シート
工事監理報告シート
[画像のクリックで拡大表示]